加藤「息子にプレーをしているところを見せたい」

松岡「日本は東京に出られるんですか」

加藤「開催国枠での出場が決まってます。今まで本当に多くの方たちに応援してもらって、感謝の気持ちを示すのは結果だと思う。もう1つはやっぱり家族ができて、子どもも生まれて、その息子にプレーをしているところを見せたいなと。あと1年あれば2歳半にはなっているので、『パパ、がんばれ』くらいは言えると思う（笑）。その言葉を励みにしたいです」

松岡「お子さんにはどんなことを感じてもらいたいですか」

加藤「2歳半なので記憶に残るかどうかはわからないですけど、ちゃんと自分がどんな経験をしてきたかは話せるようにしたいです。たとえうまくいかないことがあっても、諦めずにチャレンジして、まずはその舞台に立ちたい。今はとにかく、代表に選ばれたいという思いが強いですね」

松岡「チームとしてはどうなんでしょう。日本はわりと強いというイメージがあった。このブラインドサッカーは繊細さとかチームの和とか、日本の強みが生かせる競技だと思うから。でも、まだ世界との差は大きいんですか」

加藤「たしかにまだ、競技環境として追いついていない部分はあります。ただ、チームワークや戦術では決して日本も引けを取っていない。監督やコーチが戦術を練りながら、日本は今、全員で守って全員で攻撃する、人もボールも動くサッカーを目指している。それはまだ他の国がやっていないことなので、その戦術がハマればメダルは取れると思います」

加藤「つなぐサッカーが日本の武器だと思います」

松岡「日本チームの武器って何でしょう？」

加藤「本当にチームワークだと思いますね。だから試合を見るときはボールを持っている選手だけではなくて、持っていない選手にも注目してほしいです。周りの選手もお互いに声を掛け合ってパスをもらうような動きをしている。互いに距離を取って、全員が動けるのは声のチームワークがあってこそ。戦術を理解した者同士がつなぐサッカーが日本の武器だと思います」

松岡「先日、テレビの番組でブラジルの神様みたいな人の映像を見たんですけど、あの選手はすごいですね。もう目が見えているとしか思えないようなプレーをしてました」

加藤「リカルド選手ですね。なんとなく近くに相手がいれば、その相手を出し抜くようなプレーもできるんですけど、本当に上手いプレーヤーはすべての選手の動きが見えていると聞きます。そうするとドリブルで2人くらい抜いていったり、パスも上手く間を抜くことができる。もし対戦したら、非常にやっかいな相手です」

松岡「そういう話を聞いていると、ブラインドサッカーにはまだまだ伸びしろがありそうです。個人の技術や戦術の理解が深まれば、今よりもっとすごいプレーが生まれそうな……」

加藤「それはあると思います。日本ブラインドサッカー協会ができてまだ20年も経っていないですし、日本も海外もプレースタイルは確立できていない。元々ブラサカはパスが難しくて、それで個人プレーが多かったんですけど、今は徐々にパスがつなげるようになってきていて戦術も増えている。これからますます変わっていくでしょうね」

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