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NBAで今最も話題のカワイ・レナード。
比較されている八村塁の将来性は?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2019/12/16 08:00
全米No.1スポーツ雑誌『Sports Illustrated』が発表したNBA選手ランキングでは、ステフィン・カリーやレブロン・ジェームズを抑えて堂々の2位となったカワイ・レナード。
「若い頃のカワイ・レナードのようだ」
八村とレナードを比較する声は、NBA関係者の間からも聞かれる。
たとえば、ゴンザガ大時代の八村のプレーを見る機会が多かったチャウンシー・ビラップスは、6月のドラフトを前に、八村のことを「若い頃のカワイ・レナードのようだ」と評した。
ウィザーズで八村のチームメイトのアイザイア・トーマスも、こんなことを言っていた。
「ルイにはよく『君のプレーを見るとカワイ・レナードが最初にNBAに入ってきたときを思い出す』と言っているんだ。身体が大きく、手が大きく、ミッドレンジのゲームが得意だ。バスケットボールをよく理解しているところ、すごく落ち着いているところも似ている」
もっとも、そういった比較に対して「早すぎる」という声があることも事実だ。
レナードがNBAに入ってから最初の7シーズンをコーチしたサンアントニオ・スパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチもその1人だ。
「その比較はフェアではない。まだ過大すぎるし、早すぎる」
今シーズンからレナードをコーチするクリッパーズのヘッドコーチ、ドク・リバースも、まるでポポビッチの言葉を聞いていたかのように「早すぎる」と口を揃える。
「私が彼なら、そういう比較はしてほしくないと思うはずだ。まだ早すぎる。まずは、彼自身でいられるようにしてあげるべきだ。彼は彼自身として、すばらしい選手になるだろう。今から15年後、たぶん彼はその時でもまだプレーしているだろうけれど、その頃になれば、どんな選手なのかがわかると思う」
「彼は一流の、すばらしい選手だ」
2人のコーチの言うことももっともだ。確かに今の八村をレナードと比較するのは時期尚早だ。身体のサイズや手の大きさ、ミッドレンジのジャンプシュートが得意で、どんな場面でも動じることなく、どちらかというと口よりもプレーで見せるタイプ、といろいろ似たところもある。
しかし、一方で、レナードが若いころから持っていたディフェンスで相手を圧倒する威圧感は、まだ八村にはない。
ポポビッチもリバースも、ルーキーの八村に対する評価は高い。彼らの言葉を聞けば、評価していないから「まだ早い」と言っているわけではないことがわかる。
ドラフト前に八村をチームのワークアウトに呼び、直接プレーを見て、話もしたというポポビッチHCは言う。
「彼は一流のすばらしい選手だ。才能があり、練習熱心。これからNBAのプレーに慣れてきたら、さらによくなっていくと思う」