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山本と島田、2人の後輩たちが語った、
王者・羽生から受けた大きなインパクト。
posted2019/11/28 19:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
11月22・23日に札幌・真駒内で行われたフィギュアスケートのグランプリシリーズNHK杯。
この大会には、今後、日本男子フィギュア界を担っていく期待が寄せられる2人のスケーターが出場した。山本草太と島田高志郎である。山本は昨年に続き2度目、島田は初めてのNHK杯だった。
そんな2人は、大会を振り返りながら1人のスケーターに共通して触れた。羽生結弦についてである。
「練習をがんばってやってきたのに、不安が増してしまって、最低限の演技でした。もっと強くなりたいです」
「スピン、ステップのレベルを取りこぼさないで、ジャンプもすべてを改善して質のいいものをそろえたいですし、足りないものばかりだと思っています」
ジャンプのミスなどがあり6位で終えた試合をそう語った山本は、小学生の頃、全日本選手権で羽生の滑る姿を見て、憧れを抱いたという。
「いつか国際大会で、一緒に滑ることができたら」
ようやくかなった今大会、いざ間近で見た姿に圧倒された。
「(羽生選手から学んだことは)多すぎて。ほんと、すべて。練習前のウォーミングアップからです。ウォーミングアップからどうやって試合に持っていっているのか、学ぶことはたくさんありました」
「アスリートの魂を感じました」
一方の島田にとってのNHK杯は、「自分に勝てなかった大会。ほんとうに苦い思い出になってしまいました」という。
ジャンプをはじめミスが重なった演技で9位。苦い思いを味わったその島田もまた、羽生から受けたインパクトは大きかったと話す。
「アスリートの魂を感じました」
その意味を、考え考え、語る。
「言葉で説明するのは難しいですけど、一緒に練習していて、集中力だったり、スケートに対しての真摯さを肌で感じています。練習でも自分に厳しく、自分に納得いかなかったら、できるまでやっていると思います」
そして次の言葉で締めくくった。
「すべてのアスリートの、理想像だと僕は思っています」