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フォロワー4000万超のビッグマッチ?
ボクシングYouTuber興行に賛否両論。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2019/11/27 08:00
ともにツイッターのフォロワーは500万人超え。インスタグラムではKSI(左)が約760万人、ポールはそれを上回る約1700万人のフォロワーを抱える。
物議を醸す一戦の背後にあったもの。
「ハードコアなボクシングファンは誇り高い人たちが多いから、その大半がこの試合を気に入らなかったのは仕方ない。そういったファンは、2人のユーチューバーが一晩だけボクシングを利用していると感じたんだ」
FOXスポーツのアナリスト、ダン・カノービオ氏がそう述べていた通り、ボクシングファンはここでプライドを傷つけられたのだろう。
このような物議を醸す一戦が大々的に催された背後に 、DAZNによる強烈なプッシュがあったことは明白だ。昨年9月から米国進出を開始したスポーツ動画配信サービス会社は、大枚を叩いてサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)といった大物スターを獲得したものの、加入者確保に苦戦。今年5月のアルバレス対ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)戦の直後でも契約者件数は66万7000件程度で、依然として100万件にも届いていないと見られる。
アリーナには10代の少年少女の姿。
そんな厳しい状況下で、ビジネス面を考えれば、ボクシングとソーシャルメディアスターの融合に目をつけたのは理解できる。KSIvs.ポール戦の前後で、一時的にでも加入者は急増したはずだ。依然として米国内では知名度が高いとはいえないDAZNのロゴを浸透させるという意味で、広告効果も莫大だっただろう。
当日のアリーナには10代の少年少女も多く、普段とは違う雰囲気になった。リングサイドにもボクシング、格闘技の記者だけでなく、エンタメ系のメディアがずらり。
「メディアの注目を集め、ボクシングをこれまでとは違う新しい層に紹介できる」
DAZNの重役、ジョセフ・マーコウスキーが事前に語っていた通り、ビジネス面での成果が大きかったたことは想像に難くない。