ボクシングPRESSBACK NUMBER
フォロワー4000万超のビッグマッチ?
ボクシングYouTuber興行に賛否両論。
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2019/11/27 08:00
ともにツイッターのフォロワーは500万人超え。インスタグラムではKSI(左)が約760万人、ポールはそれを上回る約1700万人のフォロワーを抱える。
ボクシングに何らかの恩恵があれば。
あくまで興行優先のこの試合はどう捉えられるべきなのか。ボクシングへの冒涜か、それとも現代に即した巧みなビジネス戦略か。
筆者個人の意見をいえば、「今回は許容範囲」というのが正直なところだ。実績、力量不足の選手同士の対戦時は、健康管理をより厳重にして欲しいと切に願うが、それさえなされるのであれば、いわゆるセレブリティ・ボクシングには反対ではない。「最終的にボクシングに何らかの恩恵があるマッチメイク、中身であればOK」という風に柔軟に考えている。
KSIとポールの実力は伯仲しており、実績と力量に大きな開きがあった2017年のフロイド・メイウェザー(アメリカ)対コナー・マクレガー(アイルランド)戦の前に感じたようなリング上でアクシデントが起こりそうな危険性は感じなかった。ユーチューバー対決目当てで会場に来た若者のうち、ほんの一部でもボクシングファンになってくれればこのスポーツにとっては確実にプラス。そうはならなくとも、この興行が大成功し、その収入で今後のDAZNのボクシング中継が充実するのなら御の字ではないか。
そんな風に考え、大きな抵抗はなくリングサイドでKSIvs.ポール戦を見守った。
「数字で左右されるんだ」
「DAZNの加入者伸び率はこれまでで最大に違いない。この世界では数字が大事。スポーツとエンターテイメントの業界は数字に左右されるんだ。これまでボクシングを見たことがない世界中の人たちがこの試合を見る。彼らがヘイニー、サンダースの試合も見て、できれば今後も見続けて欲しい」
中継内に語られたハーンのそんなコメントは、不躾であるがゆえにファンの感情を逆撫でしたが、真実をついていることは否定できない。