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フラメンゴ火災の悲劇から9カ月後、
親友にU-17W杯優勝を捧げたラザロ。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/11/25 10:30
U-17W杯でスーパーサブとして大仕事したラザロ(右)。悲劇に襲われたフラメンゴの希望の星となれるか。
すべてのゴールを彼らに捧げる。
この火災で、下部組織の14歳から16歳までの選手10人が犠牲になった。リケルモもそのうちの1人で、ラザロは死亡した全員と面識があった。
思いもよらぬ悲劇に、ラザロは大変な衝撃を受けた。しかし、自分にはプロ選手になって成功をつかむ、という子供の頃からの夢がある。
それは、リケルモら亡くなった10人全員の夢でもあった。それなら、自分が彼らの分まで頑張って夢を叶えよう。これから、すべてのゴールを彼らに捧げる――そう心に決め、悲しみを振り払って練習に打ち込んだ。
フラメンゴの下部組織のある指導者は、「以前から彼は優れた選手だったが、あの事故以来精神的に格段に逞しくなった。重要な試合になればなるほど、力を発揮するんだ」と証言する。
追加招集ながら貴重な得点を連発。
今年のU-17ブラジル全国選手権の決勝(ホーム&アウェーの2試合)で3得点をあげてチームにタイトルをもたらし、自らも大会得点王に輝く。フラメンゴは彼の将来性を高く評価し、長期契約を結んだ。
U-17W杯の出場登録メンバーから当初は外れたが、故障した選手の代役として追加招集を受ける。
グループステージ(GS)では、最終戦に30分だけプレーしたが無得点。しかし、準決勝と決勝でいずれもリードされた状況で後半26分(全く同じ時間だった)にピッチに入ると、いずれの試合でも試合終了直前に逆転ゴールを決めた。
追加招集でメンバー入りした控え選手でありながら、ブラジル優勝の立役者の1人となったのだ。