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田村潔司へ「真剣勝負してください」
拳王“コラコラ問答”と中邑の記憶。 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph byEssei Hara

posted2019/11/23 18:00

田村潔司へ「真剣勝負してください」拳王“コラコラ問答”と中邑の記憶。<Number Web> photograph by Essei Hara

11月2日、場外での拳王を見つめる田村潔司と長州力。11月9日には、拳王はかつて田村が高田延彦に発したセリフを真似するように挑戦状を叩きつけた。

“コラコラ問答”と禁句を使って挑発。

 11・9大阪大会のメイン終了後、拳王は次のように吠えた。

「田村潔司が俺のことイラついた? 長州力の言葉を借りてお前に言ってやるよ。何がやりたいんだコラッ! 誌面飾ってコラッ! 噛みつきたいのか、噛みつきたくないのか、どっちなんだコラッ! (中略)プロレス嫌いで有名なおまえが、何がムカついたんだ。そんなこと関係ねえんだよ! 田村潔司、俺と真剣勝負してください!」

 少しキャリアの長いファンならすぐピンとくるだろうが、「何がやりたいんだコラッ! 誌面飾ってコラッ!」は、長州力が'03年11月18に橋本真也と舌戦を展開した、いわゆる“コラコラ問答”での発言であり、「真剣勝負してください!」は、かつて田村潔司が'95年8.18UWFインターNKホール大会で、師である高田延彦に対して言い放った言葉。

 拳王は、自分と敵対するリデット社の会長である長州力と、社外取締役の田村両方の有名な言葉を拝借し、あえて“真剣勝負”という半ば禁句を口にして、田村を挑発したのだ。

田村が高田に立ち向かった理由。

 かつて田村潔司が、高田に“真剣勝負”を迫ったことには理由がある。

 '95年当時、UWFインターナショナルは財政難に陥り、新日本プロレスとの“禁断の対抗戦”を模索。また、エースの高田は6.18両国大会で「きわめて近い将来、引退します!」と発言するなど、混乱期にあった。

 このまま対抗戦に突入してしまったら、これまで守ってきたUWFの格闘スタイルは崩れ、“大国”新日本に飲み込まれてしまう可能性が高い。また、その対抗戦後に高田が引退してしまっては、若い選手たちが師を乗り越えていくチャンスも永久に失われてしまう。

 そこに危機感を抱いた若手のトップである田村が立ち上がり、8.18NKホール大会のメインイベントでエース外国人であったゲーリー・オブライトに勝利したあと、「高田さん、僕と真剣勝負してください! お願いします!」と叫んだのだ。

 この時、10.9東京ドームでの新日本との対抗戦は発表されていなかったが、水面下では内定していた時期。田村は、そのギリギリのタイミングで、高田をUインター本流の闘いに引き戻すべくアピールし、事実上のエース交代を迫った。

【次ページ】 7年を経て実現した“真剣勝負”。

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