野球善哉BACK NUMBER
筒香嘉智はずっと準備してきた。
満を持してメジャーへ、自信と勝算。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/11/20 19:00
筒香嘉智のポスティングへの動きは素早かった。それも彼の本気度と準備への自信を表すものなのだろう。
成功者・井口資仁との共通点。
「それまで自分で準備してきたことがMLBでどれだけ通用するのかを体験できるので、毎日が楽しみでしたね」
こう語っていたのは、メジャーリーグに挑戦した日本人内野手の中で、数少ない成功者であるロッテの井口資仁監督だ。
筒香のメジャー挑戦を考える時に、真っ先に連想されるのが井口である。
「挑戦する限りは、準備してから行かないと絶対に後悔するはずなんです。やるだけやってダメなら納得はできる。だから、メジャーで成功するための準備は絶対に怠らなかった」
大学No.1スラッガーだった学生時代から、井口はメジャーに憧れを持っていた。
そしてジャパンに入って海外や中南米の選手たちのプレーを見るうちに、世界で戦うことの楽しさを感じるようになっていったという。
プロ野球の先にメジャーを置いて。
プロ入団後は、まずはもちろん日本プロ野球での活躍を目指したが、その先にメジャーがあることを決して頭から離さなかった。
井口はこうも話している。
「入団して最初の何年かは成績が出ていなかったんで、もう少し自分を見直して、目標をしっかり持ってやりたいと思っていました。
その中で、どうすればメジャーの動く球に対応できるだろうと考えました。当時、日本ではツーシームを投げる投手はほとんどいませんでしたけど、そういう動く球をどう打つかと考えるようになってから、バッティング全体が良くなった感覚があります」