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筒香嘉智はずっと準備してきた。
満を持してメジャーへ、自信と勝算。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2019/11/20 19:00

筒香嘉智はずっと準備してきた。満を持してメジャーへ、自信と勝算。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

筒香嘉智のポスティングへの動きは素早かった。それも彼の本気度と準備への自信を表すものなのだろう。

プロ入り2年目に始まった試行錯誤。

 プロ入り2年目のオフ、ロサンゼルスの施設にトレーニングに出向いて本場を体験。メジャーへの取り組みはこの時から熱を帯びた。

 当時の経験を筒香はこう語っている。

「新しいバッティングスタイルをみつけるために、トレーニングからすべてを変えました。初めて練習法と考え方を教えてもらったとき、この取り組みを続ければ、絶対今よりいいバッティングができると確信できました。それまでのバッティングでも数年は打てたかもしれませんが、壁にぶち当たっていたと思います」

 横浜高校時代は通算69本もの本塁打をかっ飛ばした筒香だが、その実績が「金属バット」によるものだと気付かされたと語ったことがある。木のバットで、メジャーの地でも通じる真の技術力を磨かなければいけないという思いを持った。

 技術習得には時間を要したが、2014年に一気に成績を伸ばすと、その後も彼の技術は年々進化していった。そして結果を残せば残すほどに、彼の心はますます世界へと傾いていった。

WBCで動くボールに見事に対応。

 2015年には、ドミニカ共和国のウインターリーグに参加した。「世界野球プレミア野球12」に代表選手として出場した後だったが、彼は歩みを止めなかった。

 そこでも、多くのものを得た。

 世界基準を再確認したことに加え、新たに知ったことも多く、それは今の彼の野球観を形成しているのだろう。

 2017年のWBCではチームメイトの多くが動くボールに苦慮する中、筒香はしっかりと結果を残した。「金属バット」打ちから脱皮したことが、大きな進化をもたらしたのだ。

【次ページ】 成功者・井口資仁との共通点。

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