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長谷部誠も気になるライバルの動向。
「良い時のバイエルンとは雲泥の差」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2019/11/13 08:00
バイエルンの異常事態については、長谷部誠すら怪訝に思っている。監督交代はプラスに出るだろうか。
ペップの革新、アンチェロッティの解任。
3年前くらいというと、ちょうど監督がジョゼップ・グアルディオラからカルロ・アンチェロッティに変わった頃だ。
遡れば、その前の3シーズンは、バイエルンにとって目の覚めるような時期だった。ペップがクラブにバルセロナ的なサッカーを落とし込もうとし、SBだったフィリップ・ラームをボランチにコンバートしたり、'15-'16シーズンからは当時20歳のジョシュア・キミッヒを積極的に起用してラームの後継者として育てようともしている。そのキミッヒをセンターバック起用し0バックともいえるような超攻撃的サッカーを見せた。
だが、そのペップは'15-'16シーズンいっぱいでクラブを去った。ペップは就任当初からメディカルチームと上手くいかなかったり、「選手がミーティングの内容を漏らしている」と発言したり、言葉の問題を指摘されたり(流暢ではないが好感の持てるドイツ語を話していたのに)と常に火種を抱えていた。
だからシーズン4連覇を達成したにもかかわらず、喧嘩別れのような印象を残した。
続くアンチェロッティは人格者として知られる監督だが、バイエルンでの監督就任2シーズン目、ちょうど今回のコバチと同じようなタイミングで解任されている。
解任理由は、CLのアウェイPSG戦で0−3の大敗を喫したこを始めとする成績低迷だが、アンチェロッティに関してもヘーネス会長が「選手との確執があった」とのちに明かしている。2人連続で名将を追い出してしまったのだ。
重要な選手たちが次々と去る。
ちょうどこのペップからアンチェロッティへの移行期に2人の主役がチームを去っている。
'15-'16シーズンからはシュバインシュタイガーがマンチェスターUへ移籍、'16-'17シーズンいっぱいでラームは引退。同じタイミングで、ペップが「これまで見た中で最高のMF」というシャビ・アロンソも引退。走って、戦えて統率の取れるタイプの選手たちが軒並み去っている。
新たな戦力も獲得してはいるが、そこまで印象的な新顔は入ってこない。筆者は、ペップからアンチェロッティになった頃からバイエルンがいつもばたついている印象を受けている。