“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
川島永嗣の“リカバリー”に感化。
大迫敬介が目指す「勝たせるGK」。
posted2019/11/13 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
セカンドボールへのアクション。短所だと思って改善しようとしていた部分は、実は自分の長所として、磨き上げられていた――。
サンフレッチェ広島の若き守護神・大迫敬介は今、大きな成長曲線を描いている最中である。
多くの経験が必要とされ、たった1枠しかないGKというポジションにおいて、20代前半の若手が正GKを担うのは容易いことではない。周りのレベルが上がればなおさら困難なミッションとなる。大迫はそれをJ1で上位争いするクラブで経験し、そしてA代表に選出されるまでの選手に成長した。
起こったことはすべて今年の出来事である。昨年まで出場ゼロだった男の環境は激変をした。
広島の正GKとして試合出場を重ね、5月にA代表に初選出。6月のコパ・アメリカでは、チリ戦で念願のA代表デビューを飾り、帰国後もチームで安定したプレーを続けた。東京五輪代表の守護神候補として17日行われるU-22日本代表のコロンビア戦メンバーにも選出をされた。
「状況に応じた決断力というのは自分のストロングポイント。迷うプレーがないのが強み」と自らが語るように、ポジショニングやプレーを瞬時に選択して、それを実行する力に長けたGKだ。
A代表を経験して持ち帰ったもの。
だが、その決断が正しいかどうか。そしてプレーを選択をしたあとの対応力という面では、まだ物足りない部分は多い。だが、前述したようにJリーグ、代表のすべてを初めて経験している20歳の新鋭で、まだまだ発展途上。むしろ、この年齢で今の場所に到達できていることはポテンシャルの大きさを表している。
「キャッチするのか、弾くのか。弾くにしてもどこに弾くのか。細かい技術がGKには求められてくる。そこは代表を経験して、川島永嗣さんや権田修一さんを見て、本当に勉強になった」
彼にとってA代表は最高のお手本が揃う場所だった。さらにライバルとして争うことで成長するにはもってこいの環境。試合に出るためにアピールをしながらも、冷静にベテランGKたちの一挙手一投足に目を配った。
その中で大迫にとって印象的なシーンがあったという。