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エリザベス女王杯は「超牡馬級」。
大器ラヴズオンリーユーが大本命。
posted2019/11/09 19:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
2005年スイープトウショウ、'07年ダイワスカーレット、'10、'11年スノーフェアリー、'15年マリアライト、'18年リスグラシュー。
過去20年のエリザベス女王杯優勝馬のうち、牡馬混合GIも勝っている女傑たちはこれだけいる。アドマイヤグルーヴとスノーフェアリーが連覇しているので、優勝馬は20年間で18頭。うち5頭が大舞台で牡馬相手に頂点に立っているのだから、「超牡馬級」の馬でなければ勝ち負けできないレースと言っていいのかもしれない。
今週の第44回エリザベス女王杯(11月10日、京都芝外回り2200m、3歳以上牝馬GI)の出走メンバーにそうした馬はいるだろうか。
「いる」と多くの人が即答し、「無敗のオークス馬」ラヴズオンリーユー(3歳、父ディープインパクト、栗東・矢作芳人厩舎)の名を挙げるだろう。
リアルスティール以上の瞬発力。
昨年11月の新馬戦と白菊賞を連勝したが、今年2月に怪我をして細菌が入り、フレグモーネ(化膿性疾患)を患った。脚が腫れてしまい、矢作調教師は春シーズンを完全に休ませようか悩んだという。が、そんな状態でありながら、4月の忘れな草賞を3馬身差で圧勝した。
つづくオークスでは中団馬群で折り合い、直線で素晴らしい伸びを見せて優勝。06年のカワカミプリンセス以来、史上5頭目の無敗のオークス馬となった。ジェンティルドンナの記録をコンマ8秒も短縮する2分22秒8というオークスレコードのおまけ付きだった。
全兄にドバイターフを勝ったリアルスティールのいる超良血。矢作師は、瞬発力では妹のこちらのほうが上と明言している。
右前の蹄の炎症で秋華賞を見送ったが、矢作師によると「使って使えないことはなかった」ということ。万全を期して、オークスからの直行策を取ったわけだ。
春より間違いなくよくなっている」と言うトレーナーはこの血統のよさも難しさも知悉している。この馬とのコンビが連続3戦目となるミルコ・デムーロも、リアルスティール('16年天皇賞・秋2着)のほか、全姉のカデナダムールに騎乗した経験もある。