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<エールの力2019 vol.4>
白濱僚祐「試合の流れを呼ぶ大歓声」

posted2019/11/25 11:00

 
<エールの力2019 vol.4>白濱僚祐「試合の流れを呼ぶ大歓声」<Number Web> photograph by AKITA NORTHERN HAPPINETS

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph by

AKITA NORTHERN HAPPINETS

 秋田県は日本有数のバスケットボールどころ。B1リーグを戦う秋田ノーザンハピネッツの本拠地「CNAアリーナ☆あきた」は、地響きのような大声援に包まれる。

 今季キャプテンに就任した白濱僚祐は2016-17シーズン(Bリーグ開幕年)、秋田ノーザンハピネッツに移籍して「全然違うところに来た」と思った。

「秋田のバスケット熱は想像を超えるものがありました。秋田ノーザンハピネッツは地元との密着度が強くて、街でもよく声をかけられます。それまではそんなこと、ほとんど経験したことがないですから」

 街のシンボル、秋田ノーザンハピネッツを応援するブースターたちは、その熱狂的な応援から「クレイジーピンク」と呼ばれる。そんな彼らが埋め尽くすCNAアリーナ☆あきたでは、ここでしか見られない独特の現象が起きるという。

「目立たない、玄人好みのディフェンスのプレーに沸くんです。バスケットでお客さんが沸くのは派手なプレー、例えばダンクシュートをイメージされると思います。でも、秋田は違う。ブースターのみなさんの目が肥えているので、一人ひとりの役割をしっかり見てくれて、ディフェンスの好プレーでものすごく盛り上げてもらえる。ぼく自身が泥くさく身体を張るプレーを身上としていることもあって、とてもやりがいがありますね。このアリーナは、プレーしていてものすごく気持ちいいんです」

 秋田では、ルーズボールに身体ごと飛び込むプレーや、相手の動きを読み切ったスチールに大歓声が沸く。アリーナが一気に沸騰し、そこから勢いがついて大逆転したゲームがいくつもあるのだ。

「相手ボールをスチールして、そこからショットが決まったとしても、得点は2点じゃないですか。でも、信じられないくらいアリーナが盛り上がって、ぼくらもノリノリになってくる。あの大歓声はものすごく力強くて、相手にしてみたら大変なプレッシャーだと思いますよ」

【次ページ】 残り1秒で逆転、悪夢の一日。

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