二度と悲しませてはいけない。

　だが、彼を待っていたのは心温かい声だった。

「みなさん、まだショックを受けていたと思うんです。でも、そんな中でも温かい声をかけてくれて。“1年でB1に戻ろう”、“一緒にがんばろう”という声をいただいて、ぼくらはこんなに応援されているんだと心からうれしくなりました。それまで、こんなに応援された経験がなかったので」

　降格は残念だったが、すべてが無駄だったわけではない。

　秋田ノーザンハピネッツは、秋田の人々の暮らしに切っても切れないくらい強く結びついている――。

　そのことを痛切に感じ、白濱は奮い立った。この人たちを二度と悲しませてはいけない、と。

　B2降格を機に、秋田ノーザンハピネッツはプレースタイルの変革を敢行。気持ちを前面に押し出した、アグレッシブなディフェンスを浸透させた。秋田人の心をつかむ身体を張った激しいプレーでB2東地区を独走、1年でのB1復帰を決める。

　1年前、失意に包まれたアリーナが歓喜のるつぼとなった。

　今季、秋田ノーザンハピネッツが戦うB1東地区は、強豪ひしめく最激戦区。だが、チャンピオンシップ進出を目標に掲げるキャプテンは、今日も最前線で身体を張ってチームを鼓舞する。

「秋田の声援はほんとうに熱いです。厳しいゲームでも、耐えていればいつかは波が絶対に来る。ぼくたちがいいプレーをすれば、それが派手なプレーでなくても、アリーナがすごく沸きますから。そこからぼくらもより一層勢いがつくんです。めっちゃ頼もしい大声援です」

　秋田ノーザンハピネッツが、秋田の長い冬を熱くする。

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