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遠藤航、移籍2カ月半後のドイツ初戦。
トップ下出場も「大きなステップ」。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2019/11/08 19:00
初出場の試合後、笑顔を見せた遠藤航。ついにブンデス2部での挑戦のスタートラインに立った。
特殊な戦術にも感じるやりやすさ。
遠藤は、この2カ月半を長くは感じなかったという。
もちろん「しっかり自分と向き合ういい時間だった」が、それはサッカーに対する考え方を変えるほどの大袈裟な期間ではなかった。ロシアW杯のメンバーに選ばれながら、1試合も世界最高の舞台に立てなかった苦い経験に比べれば、取り立てて騒ぐほどではなかったかもしれない。
そしてこの間、特殊なポジションチェンジをする「戦術」に対する理解も進めてきた。月刊誌『11FREUNDE』が「ティム・バルターはVfBシュトゥットガルトでフットボールの戦術に革命を起こしている」とも記すほどのものだが、遠藤にとってドイツのサッカーはベルギーよりも組織的で日本に近く、やりやすさは感じているという。
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練習をこなしていく過程で、起用法も含め遠藤がどういう選手なのか、バルター監督の自身に対する理解が進んでいることも感じる。
「シュツットガルトに加入した当初は、おそらく監督も僕をどこで使うのか、僕がどういう選手なのか把握しきれてなかったと思います。だけど練習の中で、僕の良さをある程度は理解してきていると思います。僕が出たいのはアンカーだと言っていますし、普段の練習は“6番のポジション”でやっています」
「プレーする幸せを感じましたね」
もちろん前述のとおり、バルター監督から完全に「信頼は勝ち取れていない」ことは重々承知だ。ドレスデン戦で初出場を遂げたことで、いささか乱暴に言えば、新天地での戦いが幕を開けたに過ぎない。
何より遠藤自身、決して浮かれていない。国をまたいで挑戦を続ける中で、真摯に「いつもどおり自分の良さを練習から出してやっていくことだけ意識しています」と言う。
それでも、初めてメルセデスベンツ・アレナのピッチに立ったことは、何物にも代え難い、格別なひと時だった。
「もちろんサッカー選手である限りはフィールドに出てプレーし続けることが生きがいなので、試合のピッチに立つということは、すごく嬉しいことです。今日はチームメイトが祝福してくれて、プレーする幸せを感じましたね。試合が終わった直後のピッチの上で、監督もコーチも含め、チームのみんなが色々な声を掛けてくれました。それは、やっぱり嬉しいですよね」