eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
世界最強の格闘ゲーマーはどんな人?
ボンちゃんが語る仕事論と結婚観。
text by
八木葱Negi Yagi
photograph byHirofumi Kamaya
posted2019/11/04 11:40
トークスキルを持ち合わせたプレイヤーが多い格闘ゲーム界においても、ボンちゃんは屈指のエンターテイナーである。
オファーに飛びつかず、じっと待つ。
その慎重さは人生でも変わらない。一緒にプレイしていた人たちが次々とプロになっていくが、「実力的には決して負けていない」という確信を支えに、自分の道を見失わなかった。
2013年に国内初タイトル、そして2014年のEVOで準優勝。順調にプレイヤーとしてのキャリアを積み上げていったボンちゃんには当然多くのオファーが舞い込んだが、実際にプロ契約を結んだのは2015年の秋。
決して自分を安売りせず、かといって非現実的なハードルを設定することもせず、26歳頃まではゲーム以外の仕事も続けながら適正なオファーを待ち続けた。
「結果を出そうと意識するのはマジで損」
「その時も僕は『スポンサーを取るために結果を出さなきゃ』と焦ってはいませんでした。結果はついてくるもので、意識するのはマジで損だとしか思えないんですよね。
それでもある程度は結果がでないと、戦う舞台にも上がれないのも現実。いくら自分では強いと思っていても、スポンサードしてくれる企業がつかなければ海外の大会に出ることもできませんからね。
だから、Red Bullにとってはじめてのeスポーツのプレイヤーとして僕に声をかけてくれたのはもちろん嬉しかった。でもいくら大きい企業だからって、ふたつ返事で話を受けることはしませんでした。待遇やルールにチームとしての考え方、そういう部分はプロになるうえでも譲るつもりは無かったので」
華々しいプロ契約の後も、ボンちゃんの歩みは着実だった。急にランキングを上げたわけではないが、自分が勝てる形、戦い方、キャラクターを確実に見つけ、2019年に大きく花開いたのだ。