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西武・大石達也、現役生活に幕。
森慎二の教えを胸に第二の人生へ。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/11/01 11:50
斎藤(中央)、福井(左)との早大トリオとしてドラフトの顔になった大石。最速155キロを誇った右腕には6球団が競合した。
引退は「悩まなかったですね」。
「違うチームに行ってでも現役を続けようという気持ちは全然なかったです。悩まなかったですね。野球自体を辞めるって自分で決めていました。プロに入って4年目、成績が残せなかったのでそのオフに『クビになる』と覚悟していたんですが、でも契約をしていただけた。だから、そのあとは毎年『今年、もし結果が残せなかったら終わり』と思って、全力でプレーしてきました」
毎年のように覚悟を決めてシーズンに臨んでいたせいか「悔いもない」とさばさばとした表情で話す。
「引退を決めてから、少し休暇をいただいたんですけど、朝起きて『ああ、もう球場へ行かなくてもいいんだ』『今日は何しよう』って、何か不思議な感じでしたね。今年の秋季キャンプは、所沢にいるグループに帯同する予定です。まだスタートしたばかりなので、仕事の内容の流れをつかむのに必死です」
育成選手の練習に付き添い。
居残りでティー打撃を行う育成選手の中熊大智に付き添い、練習を見守る。バットが折れるのを見ると、走ってロッカールームまで新しいバットを取りに行く。ボールがなくなれば、ネット前に転がったボールを集めてカゴに戻す。
「育成というポジションですが、まず一度も野球を教えたことがないですし、僕自身、もっともっと勉強しないといけないと思っているところです。伝えるにしても、伝え方とか、言葉の選び方も考えなければいけないので難しいですね」
自身の経験から、何か後輩に伝えたいことはないかと尋ねると、少し考えたあと、こう語った。
「いろいろな練習方法を知っておいても損はないと思いましたね。言われるがままじゃなくて、自分で考えて……。考えながら練習すれば、自分の身にはなると思うので」
現役生活の中で様々な監督、コーチと出会った中で、指導者の数だけ指導法があることを知った。その中から自分に合う方法を選ぶことの大切さに気づくことができたと振り返る。