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最強軍団ソフトバンク “圧倒的な強さの秘密”は「スタベン」にあった【日本一4連覇なるか】 

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石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2020/11/24 11:01

最強軍団ソフトバンク “圧倒的な強さの秘密”は「スタベン」にあった【日本一4連覇なるか】<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2017年から日本シリーズ3連覇中の福岡ソフトバンクホークス。今年、4連覇なるか

試合の流れを読めるベテランたち

 第2戦は明石、周東、牧原、長谷川、福田がベンチに控えた。0-0の7回、デスパイネが山本泰寛のエラーで一塁に出ると、またも周東が代走で登場。マウンドの大竹寛はジュリスベル・グラシアルに初球を投じる前に3度、牽制球を投げた。そして足を警戒した挙げ句、速球系が中心の配球となって、大竹はグラシアルにレフト前ヒットを、続く松田にはセンターへ特大の3ランを浴びた。2人に投じた8球のうち、7球までがストレートもしくはシュートだった。さらに守備固めで入っていた福田も8回にダメ押しの2ランを放つ。

 第3戦は明石、周東、牧原、中村晃、長谷川、福田。2-2で迎えた4回、ワンアウト満塁のチャンスで、代打の長谷川が犠牲フライを打って勝ち越す。ピッチャーが左の髙橋優貴から右の戸郷翔征に代わっていたことで、スタメンだった左キラーの川島の代打として長谷川が登場したのだ。

 第4戦は内川がスタメンを外れ、川島、明石、周東、中村、長谷川とともにベンチに控えた。4-3と1点をリードしたホークスは8回、中村をファーストに、この日はスタメンでファーストを守っていた福田をライトへ、ライトのグラシアルをレフトへ回して逃げ切りへ万全の守備を敷く。その中村は最終回、陽岱鋼の打ったショートへの深いゴロを捌いた今宮健太のワンバウンド送球を、ファーストとして当たり前のように捕った。本多雄一コーチが言った。

「彼らはキャリアがある選手です。自分の仕事をまっとうするために試合の流れがどうなっていくのかを把握して、イメージする能力に長けているんです。誰が出てきたらオレが行く、誰が出てきたらアイツが行く、そういう判断を自分たちでできる。そこが彼らの強みだと思います」

読みは打者の心理から芝にまで

 さらに言えば、第3戦でセカンドとして先発した川島は、2回のツーアウト二塁の場面で田中俊太の打った二遊間へのゴロを鮮やかに捌いてピンチを防いだ。アンツーカーのところでイレギュラーバウンドしたのにもかかわらず、こともなげにグラブを打球に合わせた川島は、こう言った。

「あの場面はバッターとしては空振りだけはしたくないというところで、ポイントを前にして引っ張ってくることはないでしょうから(二塁)ベース寄りに守りました。あの(イレギュラー)バウンドはイメージしてましたね。打球が土に絡むときは疑わないといけないし、最近の東京ドームの人工芝は深くなっていますから、最後まで疑って疑って……これ、内野手の基本です」

 そして、スタベンの中ではもっとも若い23歳の周東は、こう話す。

「(川島)慶三さんにはよく『周りを見るように』と言われていますし、(福田)秀平さんからは『何球目に、どういう球が来るからそこでスタートを切ったほうがいい』って話をよくしてもらいました」

【次ページ】 盗塁はベンチにいる時から始まる

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