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松島幸太朗、トライ量産への思考。
被災地にまいた種と鳴り続ける電話。 

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占部哲也(東京中日スポーツ)

占部哲也(東京中日スポーツ)Tetsuya Urabe

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/10/28 20:00

松島幸太朗、トライ量産への思考。被災地にまいた種と鳴り続ける電話。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

欧州でのプレーを希望し、さらなる飛躍を誓った松島幸太朗。4年後がもう楽しみで仕方ない。

欧州でのプレーを希望した松島。

 さて、さて。以上、状況証拠を積み上げてみた。ぼんくら記者によるトライ量産の理由の推理は、長い旅路を終えた10.20南アフリカ戦後、松島に4強進出へ必要なファクターを聞いた時に、確信を帯びた。

「いろんな国の文化、考え方も学べると思うので。世界に出て経験をしたい」

 てっきり、「厳しい環境、トップレベルで戦いたい」という答えを予想していた。だが、違った。松島はプレー経験のある南アフリカや豪州ではなく、欧州クラブへの移籍を熱望している。南半球ではなく北半球。未経験の異なった「文化」と「思考」との遭遇。それが技術、肉体、心の引き出しを増やす。この考え方が、今大会でも広い視野を生みだし、相手を一瞬にしてフリーズさせ、トライを奪う異能につながっていると腑に落ちた。

 2023年のフランスW杯。松島は新たな文化、思考を吸収、融合し、どんなフィニッシャーに進化するのか。ちなみに、W杯通算最多トライ記録に並ぶまで残り「9」。4年後、カウントダウンする楽しみも忘れてはいけない。

マツシマはファンタスティックだね。

 追記。

 台風19号の影響で試合開催が危ぶまれたスコットランド戦当日。報道受付所には列ができた。手持ちぶさたで、前に並ぶ外国人記者にぼんくら英語で話しかけた。「グアテマラから来たよ」という彼は、「マツシマはファンタスティックだね」と言ってくれた。

 ラグビーが盛んではない中南米の記者も注目。文字通り世界中に「マツシマ」の名は広がった。それがなんだか、日本人としてこそばゆく、誇らしかった。

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