今季の目標は「サッカーをすること」

　長谷部自身、神がかったインターセプトを連発した昨季に引き続き、今も「失点0」にこだわっているという。

「ここ最近、0で抑えられたゲームが全然なかった。そういう意味で言えば、失点をとにかく減らしていく、失点0にこだわってやっていこうと、改めて中断期間中にチームで話し合ったので、それで1発目にね、こうやって0で抑えられたのはよかったです」

　そして熟練の日本人リベロは今季、「無失点」に加え「ビルドアップ」にもこだわっているそうだ。長谷部によれば、今季のアイントラハトは「サッカーをすること」を意識しているという。

「今シーズンは、チームが後ろから繋いで、よりサッカーをすることを心掛けています。そのために監督も中盤に、よりサッカーができる選手を揃えている。後ろからのビルドアップという意味では、自分のところからより良い組み立てができるように、ということを今シーズンは考えていますね」

躍進を支えた3トップがいない。

　長谷部の言う「よりサッカーをする」とは、ボールを奪った後で簡単に前に蹴ってしまうのではなく、後方から丁寧に繋いでいく、といったことを意味するのだろう。昨季は、破壊力抜群の3トップ＝ルカ・ヨビッチ、アンテ・レビッチ、セバスチャン・アレに預けてしまえば、勝手に何とかしてくれるところもあった。

　しかし、猛威を振るった3人は今夏の移籍市場で、ヨビッチはレアル・マドリー、レビッチはACミラン、アレはウェストハムと、それぞれ欧州の他のクラブに移っていった。代わりにドストやアンドレ・シウバといった選手を獲得したが、個々の能力という点では、前線の破壊力の低下は否めない。

　もちろんFW陣の顔ぶれが昨季と変わらなかったとしても、アディ・ヒュッター監督は「よりサッカーをする」ことをチームに求めた可能性もあるが、いずれにせよ、今季のアイントラハトは後方から意図を持ってパスを繋ぎ、中盤で「よりサッカーをする」ことを指向している。そして、その出発点となるのが、リベロの長谷部なのだ。

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