フランス・フットボール通信BACK NUMBER
サミュエル・エトーの引退に寄せて。
不屈のライオンのふたつの顔。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byL'Equipe
posted2019/10/23 11:15
バルセロナ、インテル、そしてカメルーン代表の選手として、数多くの伝説を残してきたサミュエル・エトー。
インテル時代のモウリーニョと作った伝説の試合。
透徹した視線とカリスマ性、スタイリッシュな生き方、信頼と傲慢さの共存、ピッチの上ではコントロールのクオリティとゴールの嗅覚、継続するパフォーマンス……。
インテル時代のジョゼ・モウリーニョは、そうした彼の資質を最大限に活用し、それは2010年におこなわれたひとつの伝説的な試合で結実する。
バイエルンとのCL決勝でモウリーニョは、彼をいつもとは異なるポジションで起用し、エトーはその要求にキッチリと応えて、インテルは1965年以来実に45年ぶりとなるヨーロッパ制覇を成し遂げたのだった。
決して動じることなく冷静に戦術的要求を満たす。それだけ彼のディシプリンは卓越していた。
そのオリジナリティは、唯一無二の試合でとりわけ輝いたのだった。