短期決戦の雰囲気に飲まれた。

　レギュラーシーズン終盤、相手打線を抑えてリーグ優勝に貢献した投手陣も、短期決戦の雰囲気に飲まれた。

　初戦、2戦目こそ競ったものの、すべての試合で先発投手が先に失点し「いつも1点を追いかける苦しい展開になってしまった」（秋山翔吾）と、勝負は後手に。

　意気消沈した投手陣に引きずられるように自慢の打線も沈黙した。なかでも勝ち頭のザック・ニールを先発に立てた第1戦で、8回、バッテリーミスにより逆転を許したシーンが、ライオンズの現在の課題と若さを物語っていた。

　辻監督は続けた。

「投手陣は今井達也、松本航、本田圭佑など若い投手がたくさん経験を積んだシーズンでした。悔しい思いをして、これから自分が何をしなければいけないのか、よく考えてほしい」

　来シーズンへ向けての教訓が残るシリーズとなった。

4連敗の屈辱を来季へどう生かすか。

　では、4連敗で敗退した屈辱を、選手たちはどう来季へ生かすのか。

　チームリーダーの秋山はフリーエージェント権の行使もささやかれており、たとえ残留したとしても、次世代のリーダー的存在が必要となる。入団3年目で不動のレギュラーとなっている源田壮亮が最有力だ。

　試合後、駐車場に姿を現した源田は報道陣に囲まれたあと、絞り出すような声で言った。
「悔しいですよね。向こう（ソフトバンク）が強いのは、もう、それはわかっていたことだし、ただ、それ以上にうちが力を出せなかったという感じです。勢いに乗れば西武はいちばん強いチームだと思う。でも、その最初の突破口、口火を切ることが自分もチームもできなかった。自分としても、そういう働きができなかったですね」

【次ページ】　源田が珍しく声を震わせた。