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内村航平の同時期を上回る橋本大輝。
18歳の超新星が見せた可能性と涙。 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byTakao Fujita

posted2019/10/20 19:00

内村航平の同時期を上回る橋本大輝。18歳の超新星が見せた可能性と涙。<Number Web> photograph by Takao Fujita

種目別決勝の鉄棒ではG難度の「カッシーナ」などを次々に成功し4位に。「メダルには届かなかったけど、自分の中ではいい演技だった」と語った。

団体決勝でのミス、流れた涙。

 結果はあん馬が落下もあって最下位に終わったが、最終日に行われた鉄棒では見事に切り替えてメダルまであとわずかの4位となった。これには「無欲でやれました。良い演技を出来たと思います」と清々しい笑顔を見せた。

 だが、大会全般を振り返ると、大会6日目の団体決勝で流した涙が最も色濃く胸に残っていた。

 その日、日本は5種目めの鉄棒まで全員が“ノーミス”の演技を続けていた。最終種目はゆか。橋本はここでチームの2番手として出場したが、前方宙返りひねりの連続技を組み込んだタンブリングの3シリーズ目に尻もちをついてしまったのだ。その後はしっかり切り替えて最後までまとめたが、演技を終えた橋本の目には大粒の涙が流れた。

「みんなが耐えて耐えてつないできてくれたのを、自分があのミスで台無しにしてしまったという思いでした。全部(の着地で)立ちたいという気持ちがあったのですが、着地を狙いに行って止めることが、そこで出来なかったのが一番悔しいです」

 原因は、予選と違う緊張感があったことだという。

「5-3-3(各種目で5人中3選手が演技をして合計点で競う)という団体決勝の、1人もミスをできない中で、自分が最後のゆかでミスをしてしまったのは申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 無垢な目を持つ18歳の素直な気持ちだった。とはいえ高校2年生で世界選手権種目別ゆかの金メダルを取った白井は別格だったとしても、オールラウンダータイプで言えば、内村でさえ世界大会の初メダルは大学2年だった北京五輪。

東京五輪、そして次のパリまで視野に。

 18歳で世界と堂々と渡り合った橋本のインパクトは非常に強く、日本のポテンシャルを世界にあらためて知らしめることになったのは間違いない。

「今回の世界選手権では、来年に向けてこれから自分が何をすべきか、それが的確に見えてきました。課題はロシア、中国と差のあるつり輪と平行棒。団体で負けて、自分が来年(東京五輪)に代表に入って勝ちたいという気持ちが強くなったので、来年は五輪の選考会でトップを狙うつもりでがんばりたいです」

 無限の伸びしろを感じさせる橋本が、世界デビュー戦で多くの経験を積んだ。それは東京五輪のみならずパリ五輪につながる未来を輝かせるものだった。

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