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シブコとRSK山陽放送の幸福な関係。
「プロになったらウチに所属してね」
posted2019/10/09 20:00
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph by
RSK
7月25日、岡山空港のロビー。
1人の女性が、30人ほどの見送りを受けて旅立とうとしていた。
「大勢で見送っているから、周りの人たちが『あの人、誰?』という感じで見ていたんですよね」
そう振り返るのは、岡山県岡山市に本社を置くテレビ局、RSK山陽放送株式会社の桑田茂・代表取締役社長。桑田社長以下、同社の役員・社員に見送られて旅立つその女性が、後に「スマイル・シンデレラ」と呼ばれることになるとは、そのとき誰も思っていなかった。
8月のAIG全英女子オープンで、日本人女性として42年ぶりの海外メジャー大会優勝を果たした渋野日向子。いまや一挙手一投足が注目を浴びるアスリートのキャップとキャディバッグには、緑と赤でデザインされた「RSK」のロゴが光る。RSK山陽放送は今年2月に渋野と所属契約を結び、活動をサポートしているが、きっかけは、桑田社長がゴルフ好きであることだった。
「私がゴルフと釣りが好きなので、日曜日の朝にゴルフの番組をやろうと提案したんです」
その番組が『SUNDAYスマイルGOLF』と名付けられたのは、いまにして思えば暗示だったのだろう。現在も続く人気番組に最初に出演したのは、渋野と同じ岡山県出身のプロゴルファー・小橋絵利子で、のちにRSK山陽放送と最初に所属契約を結んだ選手となった。
「しっかり会話ができる子」
桑田社長が初めて渋野に会ったのは、作陽高校時代にRSK山陽放送を訪ねてきたとき。第一印象は「ニコニコ笑っていて、高校生だけど、大人が相手でもしっかり会話ができる子」だったが、一緒にゴルフをすると、能力の高さに驚かされた。
「最初に一緒にラウンドしたとき、渋野さんは5アンダーで回ったんです。当時は高校1年か2年でしたが、ドライバーがよく飛ぶし、アイアンもうまい。『すごい子だな』と思ったのを、はっきり覚えています」
その後も何度か一緒にラウンドした桑田社長は、軽い気持ちで「高校を卒業したら『SUNDAYスマイルGOLF』に出演してよ」「プロになったらウチに所属してね」などと話していた。卒業初年度、2017年のプロテストは不合格だったが、人づてに「キャディーをしながら練習を頑張っている」と聞いた桑田社長は、静かに動向を見守った。