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ディープインパクト最期の5カ月間。
おぼっちゃまで、アクションスター。
 

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

PROFILE

photograph byAsami Enomoto

posted2019/10/09 07:30

ディープインパクト最期の5カ月間。おぼっちゃまで、アクションスター。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

ディープインパクトが暮らした馬房には、今も遺影と遺骨が安置されている。

手術の成功率は95%だったが……。

 すぐにレントゲン撮影を行い、レーザー治療を施した。次第に症状が治まり始め、試験的に2度ほど種付けをさせてみたが、本来の状態には戻らず。

 今シーズンの種付けを中止し、手術を受けさせることを決めた。執刀は、乗用馬や競走馬など2000例ほどの手術経験を持つ、海外の獣医師チームに依頼した。事前の検査の結果、症状のグレードは5段階中の2.5、手術の成功率は95%と診断された。

 7月28日、社台ホースクリニックで頚椎を固定する手術が行われた。しかし29日の午前、突然起立不能になった。馬体を吊り上げてマットの上で寝返りを打たせる作業を2時間に1回行い、懸命に回復を願った。

 しかし30日、レントゲン検査で頚椎の別の箇所の骨折が判明。回復が見込めないと診断され、安楽死の処置が取られた——。

「まだ泣きそうになっちゃうんです」

 取材当日、ディープインパクトの馬房の入り口には、テーブルが置かれていた。その上には遺影と、小さな木箱に納められた遺骨、ニンジン、花々。扉には、ファンから贈られた御守りが結び付けられたままだった。

 撮影のために“ディープゆかりの地”を案内してくれた社台SS事務局の三輪圭祐氏は、主のいなくなった馬房を見つめながら、こう言った。

「今でも信じられないんですよね。こうやってディープの思い出話をしていると、まだ泣きそうになっちゃうんです」

 馬房のある厩舎を出て、放牧地をぐるりと回る。その隣の敷地ではディープインパクトの血を受け継いだ、キズナがのんびりと草を食んでいた。

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