令和の野球探訪BACK NUMBER
新潟でドラフト指名を待つ長身右腕。
今年で24歳、即戦力にならなければ。
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2019/10/08 20:00
188cmの長身から投げ込む速球が魅力の長谷川凌太。昨年はドラフト指名漏れを経験した。
24歳、即戦力にならなければ。
指名漏れした経験から、まずは自らと向き合い、変化球の精度やフォームの再現性を課題に挙げてオフシーズンを過ごしてきた。そうしたことで、今季はストライクが欲しい場面をストレートだけでなく変化球でもカウントを整えられるようになった。主に中6日の間隔で年間通じて先発としてローテーションを守り、11勝1敗で防御率は2.05と1年目をはるかに上回る成績を残した。
2年間、長谷川の成長を見守ってきた加藤健総合コーチ(元巨人捕手)も「一生懸命に何事も取り組む。ムラが多くあった去年に比べムラがなくなるようになりました」と、その姿勢や安定感の向上を評価している。
それでも長谷川にとっては、ドラフト指名への不安は常にある。年齢は今年24歳。大卒2年目の社会人選手と同期にあたり彼らは多くが「即戦力」と見込まれNPBの世界に飛び込んで行く。
昨年は「NPBに行きたい」と考えていた長谷川だが、今年は違う。
「もう(今年で)24歳。育成でもいいからという気持ちではなく、即戦力と見なされなければいけない」
ドラフトにおいて1つでも、高い順位で指名されることを目指してきた。
野球人生を懸けた3試合。
そして、その集大成の場となったのがレギュラーシーズンを終えた9月下旬に行われたNPB球団との交流戦だった。巨人三軍との2試合は中継ぎとして1イニングずつ、オリックス二軍戦では先発して3イニングを任された。
「上手くなっている実感があるから」と、10月17日のドラフト会議の結果いかんに関わらず、現役は続けるつもりでいる。ただ、年齢が年齢だけに時が経てば経つほど、その門戸が狭まっていくことは重く理解している。それだけに、この3試合は「野球人生を懸けたマウンド」と言っても過言ではなかった。