令和の野球探訪BACK NUMBER
新潟でドラフト指名を待つ長身右腕。
今年で24歳、即戦力にならなければ。
posted2019/10/08 20:00
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
新潟アルビレックスBCに所属し、188センチの長身から最速153kmを投げ込むドラフト候補右腕・長谷川凌汰。数年前まではこの場に立つことすら想像できなかった。
「あの頃に比べたら、今のこの立場にいられることには携わっていた方々に感謝しかありません」と、しみじみと話す。
「あの頃」と話すのは龍谷大時代だ。
福井工大福井の選手として甲子園に出場した父の影響もあり、高校は県屈指の名門・福井商に進学。当初は外野手だったが、長身と強肩を買われて投手に転向。最後の夏は2番手投手として福井大会ではわずか1イニングの登板のみだったが、甲子園では故障したエースに代わって好投。2勝を挙げて、ラッキーボーイとなり、チームの16強進出に貢献した。
141kmが120kmほどに……。
だが、大学に入って以降、フォームを徐々に見失うようになっていく。
高校時代に最速141kmだった球速は120kmほどにまで落ち込み、リーグ戦のベンチにすら入れない時期が続いた。それでも「プロ野球選手になりたい」という原点の気持ちを胸に、ウェイトトレーニングを妥協なく積み上げ、入学時に78キロだった体重は92キロに。4年春には当時のコーチから現在の足を高く上げるフォームを提案されると、ようやく高校時代の球速に戻った。そして秋には148キロを計測するまでになった。
夏前には一般企業の営業職に内定をもらっていたが、投手としての自分に期待してみたくなる気持ちを抑えることはできず一念発起。独立リーグ挑戦を決めた。
独立リーグ1年目の前半戦は主にリリーフ、後半戦になると先発を任された。6勝5敗、防御率3.09と成績は秀でるものこそなかったが、10月上旬のBCリーグ選抜対オリックス二軍戦では自己最速の153kmを計測。トントン拍子で成長曲線を描き、期待を持ってドラフト当日を迎えた。
しかし、結果は指名漏れだった。