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おちゃらけキャラだが実は「巧い」。
浦和・森脇良太、異能の400戦出場。
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph byGetty Images
posted2019/09/23 11:30
年下のチームメートにもいじられがちな森脇良太。ピッチでのプレーを見ると、気の利いたプレーができるタイプだ。
父に叱られて磨いた左足の技術。
この庭で森脇はドリブル、リフティングを毎日のようにやっていた。またブロック塀に描いた大きな的をめがけて、右足で3m、5m、10mと少しずつ距離を伸ばし、イメージ通りに蹴れるように努力していた。
褒めてもらおうと父親に話したところ「お前、プロになりたいんだろ!? だったら、左足もできなきゃダメだろ」と逆に叱られた。その日から左足を練習し、利き足の右と同じく蹴れるようになった。その努力はプロになって大きな武器となった。
テクニックの高さだけではない。人を惹きつけるものが森脇にはある。
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実は加入当初、山中は森脇に良い印象を持っていなかったそうだ。
「浦和に来る前は嫌いな選手でした。プレーに関係ないところで(目立って)……というのもあってですね。でも、浦和に来てから、その考えは全く変わりました。一緒のチームにならないとわからない人間性がある。親しみやすいキャラですし、同じチームだからこそ好きになれました」
汰木もこのように話す。
「昔から知っている人じゃないと、自分から話すことができず、いつも一歩、引いていたところがありました。でも、浦和に来てモリくんが話しかけてくれて、チームにスッと入ることができました」
プロ15年目まで続けられるとは。
プロ15年目で迎えたJ通算400試合。だが、当の本人はここまでプロ生活が続くとは思っていなかった。
「1年目のとき(周囲の)テクニックが高くて、判断も速くて全ての面でレベルが違っていた。当時の広島には(服部)公太さん、森﨑兄弟、(大木)勉さんとうまい選手が揃っていて、このメンバーのなかで自分が25歳までプロを続けられる自信は全くなかった」
そんな森脇にプロの自信を植え付けたのが2年目の'06年、期限付き移籍したJ2愛媛FCでのこと。「もう2度と広島に戻れないかもしれない」という気持ちで必死で過ごした毎日だったことは確かだ。