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10年ぶりのワールドシリーズへ、
盟主ヤンキースの役者が揃った。 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byGetty Images

posted2019/09/21 08:00

10年ぶりのワールドシリーズへ、盟主ヤンキースの役者が揃った。<Number Web> photograph by Getty Images

昨シーズン19勝を挙げたセベリーノ。規定投球回に到達した先発投手でメジャー最速の平均球速を誇ったエースの帰還で投手陣は盤石に。

ポストシーズンはダブル先発も。

 その結果、中盤以降はメジャー最激戦区と言われるア・リーグ東地区を独走。ポストシーズンでも本命のひとつに挙げられるほど、底力を蓄えてきた。

 常に故障者を抱えながらも、シーズンの最終コーナーまでトップで走ってきたチームに実力者が復帰することは、実質的な「大型補強」と言い換えてもいい。

 特に、セベリーノの場合、先発だけでなく、救援に回る選択肢も残されている。実際、ヤンキース首脳陣は、ポストシーズン限定の戦法として、1試合に2人の先発を投入する「ダブル先発」も視野に入れており、よりバリエーションの広い起用法が可能となった。

メジャー最高勝率をかけた戦い。

 今後は、アストロズ、ドジャースとの間で、公式戦最終戦までメジャー最高勝率をかけた戦いに注目が集まる段階へ移行する。ポストシーズンでは、「ホームフィールド・アドバンテージ(開幕優先権)」が勝敗を左右することも多いだけに、地区優勝だけをゴールに定めるわけにもいかない。

 最後の直線に差し掛かっても、アーロン・ブーン監督は淡々と言った。

「何も変わらない。毎試合、勝利を目指していくことは同じだ。もちろん、選手の健康を維持していくうえでバランスは重視する。ただ、我々はベストレコード(最高勝率)のために戦い続けていく」

 その一方で、故障していた主力が復帰し、選手層に厚みが加わってきた状況には、ニヤリと笑った。

「心配よりも、かなりエキサイティングかな」

 10年ぶりのワールドシリーズへ――。

 盟主が、盟主らしく戦える条件が、満を持してようやく整った。

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ニューヨーク・ヤンキース
ルイス・セベリーノ

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