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10年ぶりのワールドシリーズへ、
盟主ヤンキースの役者が揃った。
posted2019/09/21 08:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
2009年以来、10年ぶりの世界一を目指すヤンキースの戦力が、シーズン佳境を迎え、ようやく整備されてきた。
開幕前から右肩痛などで離脱していた快速右腕ルイス・セベリーノが9月17日、エンゼルス戦で今季初先発のマウンドに向かい、4回2安打無失点と好投した。依然として「試運転」の段階でもあり、67球で交代したものの、最速99マイル(約159キロ)をマークし、4三振を奪うなど、ブランクを感じさせないプレートさばきで、復活を印象付けた。
登板後のセベリーノは、人懐っこい笑顔でリハビリの日々を振り返った。
「ここまで長かった。ただ、準備はできていたし、とてもいい感じだった。やっとチームの手助けができてうれしいよ」
ベンチから見守ったアーロン・ブーン監督も、納得の表情でキーマンの投球にうなずいた。
「とてもいい投球だったし、大きなステップになった。もっと良くなる余地はあるし、とても心強い一歩だった」
故障禍に悩んだチームがついに。
2日前の15日に復帰した救援右腕デリン・ベタンセスは、わずか1試合に登板した後、再び故障離脱したものの、野手陣ではジアンカルロ・スタントン、ゲイリー・サンチェスら大砲が、最終戦までには復帰する見込み。苦しかった時期を越え、着実に追い風が吹いてきた。
今季のヤンキースは、相次ぐ「故障禍」に悩まされてきた。セベリーノ、ベタンセスだけでなく、野手陣でもアーロン・ジャッジ、アーロン・ヒックス、スタントンら主軸を欠く期間が長く、ベストメンバーで戦った試合は、ほぼ皆無に近かった。
それでも、経験の浅い若手が、予想を遙かに上回るスピードで成長し、主力不在の穴を埋めた。先発では出場停止処分を受けたもののドミンゴ・ヘルマンが18勝(9月17日現在)を挙げ、ローテーションの柱として活躍。野手では、ジョバンニ・ウルシェラが打率3割、20本塁打をマークするなど、チームの不測の事態を自らのチャンスに変え、しっかりとものにしてきた。