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「ぶざまな姿は絶対見せたくない」
羽生結弦が目指す「完成形」と4A。
 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2019/09/18 15:00

「ぶざまな姿は絶対見せたくない」羽生結弦が目指す「完成形」と4A。<Number Web> photograph by Akiko Tamura

今季初戦となったオータムクラシックで、SP、FSともにトップに立ち、合計279.05点で優勝した羽生結弦。

ハーネスで降りた5回転トウループ。

 さらに羽生はその回転を強化するため、5回転トウループを練習していたことも告白。ブリアンコーチは、こう証言した。

「(ワイアーで吊った)ハーネスで5トウループを試してみて、彼は2度目の試みで成功させたんですよ。ハーネスを支えていたコーチは、自分は何も助けなかった、と言ってました」

 もっとも現時点でISUが設定している最高難易度のジャンプは4アクセルまで。たとえ試合で5回転ジャンプを成功しても、ポイントが設定されていないため無得点になる。次のISU総会は2020年6月にタイのプーケットで行われるが、おそらくそこで議題の1つに上げられるだろう。

GP前に見つけた課題。

 オータムクラシックで羽生は予想通り余裕で優勝したものの、その内容は本人の満足がいくものではなかった。

 SPでは4サルコウで珍しい転倒があり、フリーでは冒頭の4ループと4サルコウでステップアウト。また中盤で跳んだ4トウループが、2つとも回転不足の判定になったことはこれまでなかったことで、本人も驚きを隠せなかった。

 新しいジャンプの練習をはじめたことで、感覚が違ってきたということはあるのか、と聞かれると、羽生は「それはないと思っています」と即座に否定した。

「試合に向けての段階が良かったとしても、試合の準備だとかがうまくいかなかった試合だと思っている。せっかくグランプリの前に(課題を)見つけられているからこそ、いろいろ修正していきたいなと思っています」

 次の試合は、いよいよグランプリシリーズ。10月後半のスケートカナダになる。

「自分にとっては、ノーミス以外は敗北みたいな感覚が常につきまとった状態で試合をやっている。そういう意味ではまた、新たなプレッシャーと戦いながら試合できたらと思っています」

【次ページ】 北京オリンピックも視野にと告白。

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