フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
紀平梨花、シーズン初戦優勝。
練習での不調を覆した集中力。
posted2019/09/17 16:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
9月12日から、トロント郊外オークビルで開催されたオータムクラシックで、紀平梨花が初優勝を飾り、順調なシーズンスタートをきった。
SPでは出だしで完璧な3アクセルをきめ、3フリップ+3トウループ、そして3ループとノーミスで滑り切り、78.18で2位のエフゲニア・メドベデワに3ポイントほどの差をつけてトップに立った。
特に加点のついた冒頭のアクセルについて、「アクセルは思い通りのジャンプができました」と笑顔を見せた。新プログラムは、シェイリーン・ボーン振付による『Breakfast in Baghdad』。夏にアイスショーで披露したが、最初から最後までボーカルとギターの小刻みなリズムが続くジャズナンバーで、スケートを合わせるには難曲である。
「常に動き続けていて、すごく息切れがするプログラム。はじめて教えてもらったときはジャンプを入れなくても体力がもたないくらいだった」と告白した紀平。今は慣れてきて、体力がついたことを実感したという。
本番で底力を見せた紀平。
フリーの日の朝、練習リンクで行われた公式練習では珍しくジャンプミスが目立ち、転倒もあった。夕方の本番でも6分間ウォームアップでは3アクセルに苦戦し、納得がいかない表情のままいったん氷から上がった紀平。
だが、そこから底力を見せた。
新フリーは、トム・ディクソン振付、世界平和をテーマにしたという『インターナショナル・エンジェル・オブ・ピース』。冒頭で3アクセル+2トウループをきめ、2度目の3アクセルは回転不足の判定を受けたものの、後半の3フリップ+3トウループなど最後まで大きなミスなく滑り切り、145.98を獲得。総合224.16でトップを保った。