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大迫傑の腕振りは「水のように」。
米国人コーチが明かした指導と進化。
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byMasato Sakai
posted2019/09/14 19:00
オレゴンで練習を積む大迫。日本記録保持者として挑むMGCでは大本命に推される。
「どんな状況でも勝てる力」をMGCで発揮する。
大迫は走り込みをしながらレースにも参戦している。
MGC2カ月前の7月22日のホクレンディスタンスチャレンジ網走大会の1万mは27分57秒41の3位でフィニッシュ。設楽悠太(Honda)、佐藤悠基(日清食品グループ)らMGCで争うことになるライバルたちに先着した。
8月10日にはHOT TROTハーフマラソンを走り、1時間2分23秒で優勝を飾っている。今回も順調にトレーニングを積んでおり、マラソンに本格参戦しても持ち味であるスピードは健在だ。
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これまでのマラソンでは、途中棄権となった東京以外の3レースでいずれも3位に入っているが、MGCも「順位だけを意識している」という。日本人だけの戦いで、それぞれの実力、キャラクターを熟知しているはずだが、大迫は誰かを意識することはないと言い切る。
「レースを頭のなかでイメージしてもその通りにならないし、無駄だと思うんですよ。誰かが(前に)出たら、そのときに考えればいい。冷静に判断できる自信はありますから。こうじゃなきゃ勝てないという選手は弱いと思うんです。
どんなレースでも対応できないとオリンピックでは勝てなくないですか? 僕がいまつけている力は、どんな状況でも勝てる力。それをMGCでも発揮するだけです」
日本記録を保持する大迫は他の選手から徹底的にマークされる存在だ。挑戦者たちが様々な攻撃を仕掛けてきても、冷静に対応して、確実に「2位以内」でフィニッシュする。MGCで大迫が見せるのは“王者のマラソン”だ。本当に目指すものは、もっと先にあるのだから。