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<僕らが18歳だった頃>
ルイス・スアレス「チャンスを逃す達人」
posted2019/09/11 15:00

18歳でプロデビューを果たすと、10得点を奪いナシオナルのリーグ制覇に貢献した。
text by

藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia
photograph by
AFLO
バルセロナでゴールの山を築くストライカーも、プロ1年目から群を抜いていたわけではなかったが、当時から誰にも負けない強みを備えていた。(Number985号転載)
今年1月、バルセロナにおいてクラブ史上最多得点者トップ5入りを果たしたルイス・スアレス。ウルグアイ代表でも2013年からチームの歴代得点王の座を維持し、'17年にはW杯南米予選における最多得点記録を更新した。今でこそ「天資の得点力を持つストライカー」として誰もがその実力を認めているスアレスだが、母国ウルグアイ、ナシオナルの下部組織でプレーしていた頃は、ゴールゲッターとして決して群を抜く存在ではなかった。
2005年5月にナシオナルのトップチームで18歳のスアレスをデビューさせたマルティン・ラサルテ監督は、当時のことをこう振り返る。
「実を言うと、当初は下部組織にいた他の選手たちをトップチームに引き上げることを考えていました。当時ルイスと同じ'87年生まれのカテゴリーではブルーノ・フォルナローリ(現オーストラリア、パース・グローリー所属)とマルティン・カウテルッチオ(現メキシコ、クルス・アスル所属)というストライカーがゴールを量産していましたし、ルイスよりも点を決めていた選手は他にもいたのです」
だがラサルテは、下部組織のコーチ陣からスアレスを薦められた。得点数では確かに劣るが、プロの環境でもすぐに対等に競い合える素質があると太鼓判を押されたのだ。その言葉を信じた。