セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
イグアインにジェコ、ディバラ……。
放出要員、窓際族の逆襲が見たい。
posted2019/09/11 18:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Uniphoto Press
「●●ポッ! すごい試合だった。まるでジェットコースターみたいだっただろ!?」
第一声は、南イタリアの方言で男性器を表わす放送禁止用語だった。
今季、再び白黒の縦縞ユニホームを着ることになったユベントスのFWゴンサロ・イグアインは、セリエA第2節ナポリ戦直後のインタビューにアドレナリン全開で臨んだ。
強豪ナポリをホームに迎えた大一番は壮絶な乱打戦だった。ユーベは62分までに3点をリードしたが、後半20分過ぎから15分間で同点に追いつかれ、92分のオウンゴールで何とか辛勝、開幕2連勝をあげた。
怒涛の試合展開にあって、イグアインの働きぶりは誰よりも際立っていた。
19分に左サイドからボールを受けたイグアインの背中にはリーグ最強のCBカリドゥ・クリバリーが張り付いていた。しかし、イグアインは一瞬左向きにフェイントを入れて逆をつくと、流れるように右足アウトサイドで放り込んだ。
クリロナ加入で今や“窓際族”。
圧巻のゴールにクリスティアーノ・ロナウドをはじめとするチームメイトたちが駆け寄り、祝福する。イグアインは胸のエンブレムを激しく叩いて、常勝ユーベのFWである誇りを満天下に示す。そんな彼の試合後の失言を、僚友たちが咎めたはずもない。
開幕前、イグアインは試合出場どころか、チームにいられるかどうかも怪しかった。2019年の夏が始まったとき、彼はユベントス株式会社の“窓際族”だった。
ミランとチェルシーを渡り歩いた昨季のレンタル生活を終えたイグアインは、保有元であるユベントスでキャンプインした。
現在のユーベは“クリロナ”という恒星を中心に回っている。新監督サッリは4-3-3信者だから3トップの左サイドはC・ロナウドの専用席。残る2つの先発枠にイグアインとマリオ・マンジュキッチ、ドウグラス・コスタにパウロ・ディバラ、そしてフェデリコ・ベルナルデスキの5人がひしめき合う。