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原辰徳インタビュー(3)「監督の気持ちでやる選手を何人作れるか」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/09/11 11:30
監督として、7度のセ・リーグ優勝、3度の日本一にチームを導いた。昨年、野球殿堂入りを果たす。
逆境で「何とかするぞ」という意識があるか。
――原監督の描くリーダー像とは、どんなものですか?
「リーダーがたくさんいることですね」
――誰か突出したリーダーが1人出て、そのリーダーがー組織を引っ張っていくのではない?
「要するに監督という気持ちで野球をやっている人を何人作れるかだと思います。やっぱり監督というのは、どこの監督さんも勝つことに必死で全力です。1人でも、2人でも、3人でも4人でも、その意識を持っている選手がいることです。そういう監督の気持ち、意識を持ったリーダーをたくさん作ることです。それでそこから真のリーダーは出てきますよ。
逆にそういうリーダー意識がない人間は、組織に入った時には大したエネルギーは出せない。自分がいいときは先頭に立っていいでしょう。しかしリーダーというのは、そういう意識を持っている人間というのは、自分が逆境に立った時に何とかするぞという強い意志があるかです。そういうものが僕は真のリーダーシップだと思っています」
「刻み込んで、次につなげる」
――まずそういうリーダー意識を持つ選手が集まった集団を作ることが大事だということですね。
「でもそういうリーダーが集まった組織でも、そこにまたリーダーが出てくるわけだから。だから僕はそういうリーダー意識を持たない組織、そういう意識を持っている選手が少ないチームというのは決して強いチームになれないと思う。それは年齢とかそういう問題ではないんです」
――今年の巨人にはそういう意識の選手、人材が増えてきた。それがここまでの戦いの背景だ、と言ってもいいですか?
「そう思います。例えば私がいなくなる。そうなってもそういうものは残していきたいと思うね。僕がいるときは『オイオイオイッ!』てね、僕が神輿をあげる。あるいは選手たちを動かす。でも僕も含めて、いまの指導者はいずれいつかは必ずいなくなる。しかしその中でもジャイアンツというチームは、こういう意識、こういう考え方でチーム作りが行われるんだというものを、どこかに刻み込んで、次につなげる。それが僕の役割としては大きいんじゃないかと思っています」