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不屈の男・ヤクルト館山昌平が引退。
右肘手術前に明かした丸刈りの理由。
posted2019/09/10 11:45
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
KYODO
東京ヤクルトスワローズ館山昌平、引退へ。
この一文を見た時、こんなシーンを思い出した。
「タテ、どうして丸刈りにしてるの?」
そういえば彼は常に髪が短いと思い、僕が何気なく聞いた質問だった。
「理由があるんだよ」
と、ひと言話した後、こんな言葉が返ってきた。
「右肘にメスを入れて手術をすると右腕が当分動かなくなる。左腕から腱を移植するから両腕が使えなくなる。その間、髪を触れないし、伸びていたら邪魔になることが多い。だから丸刈りが一番、便利なのよ」
これが4年前の話。2015年、館山昌平は見事復活を果たし、ヤクルトのリーグ優勝に貢献した。
肘には3度のメスを入れた。
実に肘には3度のメスを入れ、靱帯再建手術を行ってきた男。現役生活17年間のほとんどが手術中心の生活……そんな印象すらある。
怪我を抱えながら、手術とリハビリを繰り返しながら、それでも38歳まで現役を続けてきた不屈の精神力。'09年には16勝をマークし最多勝を獲得。通算では85勝。先発投手として17年続けての勝ち星は100勝に届かなかった。館山が手術で休んでいる期間が無ければ何勝できていただろうか?
食事には常に気を使ってきた。肘や肩に働きかける栄養素を熟知している。さらに食事だけでなく、プロテインやサプリメントなど身体を形成してくれる摂取物についてまで、まるで研究者かのように知識を取り込んできた。身体の状態を見て、何が必要か、何を摂るべきか自分で判断できた。