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「どうしたらいいかわからない」
阪神・鳥谷敬が吐露した弱音。
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byKyodo News
posted2019/09/02 15:00
8月31日、自ら「引退勧告」について語った鳥谷。その後の巨人戦ではベンチから試合を見つめていた。
糸井も驚くトレーニング量。
同じく阪神タイガースで年齢も同じ糸井嘉男も鳥谷のトレーニング量には常に一目置いてきた。
「トリはほんまに凄い。ナイターでも朝から走り込みをやって、ウエイトトレーニングで身体を鍛えて、シーズン中から自分を追い込むんです。夜に試合があるのに……真似は出来ないです」
ベテランの域に入ってもこれだけの練習量を維持できる選手は滅多にいない。ましてや内野手。一塁手や外野手に転向して試合に出てきたわけではない。40歳が見えてきても遊撃手を軸とした内野の中心を守れる選手でい続けたい……これが鳥谷という男のポリシーにも感じる。
「新天地」か「引退」か。
今季で阪神の縦縞のユニホームを着るのは最後と語った鳥谷敬。
「まだできるはず、やれるはず」と思う自分と向き合い、どんな答えを出すのか。
新たな環境で新たなチャンスを与えられ、新たなヒントを得ることが出来れば、また輝ける可能性は残っている。
一方で阪神タイガースを支えてきた球団の宝であることは間違いない。優勝するチームを作る為に指導者側に回れる貴重な逸材であることも間違いない。
鳥谷敬が初めて経験してきた日々を“新天地”と“引退”、どちらに生かすのか。
どんな判断を下すにせよ、悩みに悩み抜き、自分の弱い部分を見せる勇気を持てた今だからこそ新たな鳥谷敬が見られるに違いない。