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ガンバで発展途上の食野がマンCへ。
Jを揺るがす黒船の資金力と情報網。

posted2019/09/02 11:30

 
ガンバで発展途上の食野がマンCへ。Jを揺るがす黒船の資金力と情報網。<Number Web> photograph by Getty Images

まだ「期待の若手」クラスだった食野亮太郎すら徹底的に把握する。マンCの世界戦略はJリーグにも影響を及ぼしている。

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下薗昌記

下薗昌記Masaki Shimozono

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 世代別代表の経験もなければ、ガンバ大阪でまだ定位置を取りきってもいない21歳にとって、8月最初の1週間はあまりにも激動の日々だった。

 2日のヴィッセル神戸戦で試合終盤にピッチに送り出されると、その2日後に立っていたのはアウェイのJ3リーグ、ヴァンラーレ八戸戦のダイハツスタジアム。2種登録のユース組4人とともにスタメンに名を連ねた食野(めしの)亮太郎を待っていたのは、世界屈指のビッグクラブからの誘いだった。

「Nice to meet you」

 決まり文句で挨拶する食野に、「Welcome to Manchester City」と返したのはペップ・グアルディオラである。ヴァンラーレ八戸相手にフル出場したわずか数日後、食野はマンチェスター・シティの一員になっていた。

 シティかぁ……。

 オファーを聞いた瞬間、驚嘆に似た思いが胸をよぎった食野ではあったが、プレミアリーグの移籍ウインドーが閉まるのはイギリス時間の8日17時。「話が来てから決断するまで2日あったかどうか」(食野)というタイトなスケジュールの中、21歳は海を渡ることを決意する。

移籍デッドラインわずか6分前。

 サッカーの母国でピッチを駆ける前に、食野は駆け込みでの契約に向けて文字通り奔走した。

 メディカルチェックを終え、クラブ関係者のメルセデス・ベンツに乗せられ、マンチェスター・シティのクラブ施設内を爆走。階段を駆け上がって、契約書が待つ部屋に飛び込み、サインした瞬間、時計は16時54分を示していたという。デッドラインまで残されていたのはわずか6分だった。

「施設が大きすぎて、移動に時間がかかるんです。すごくバタバタでしたがホッとしました」と苦笑した食野だったが、まさに窓が閉まる直前に欧州サッカー界に飛び込んだ格好だ。

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