ひとりFBI ~Football Bureau of Investigation~BACK NUMBER
ジダンが抱える「解任」の時限爆弾。
スターの“働き方改革”は成功するか。
posted2019/08/31 19:00
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph by
Getty Images
明るい見通しは立ちにくい。
それがレアル・マドリーの実情だろう。混迷が続くなか、昨季終盤に火中の栗を拾ったジネディーヌ・ジダン監督のチームには改革も世代交代もない。あるのはチャンピオンズリーグ(CL)で3連覇に貢献したグループの「延命」だ。
事実、陣容は古株だらけ。セルタとのアウェー戦を3−1で制したリーガ開幕戦もおなじみの面々がスタメンに名を連ねた。そのうち約半数が30代だ。チームとして、すでにピークを過ぎた感は否めない。
そうなれば、あとは下り坂。いかに転がる速度を最小限に抑えながら、タイトルを手に入れるか。それが第二次ジダン政権に課されたミッションのように映る。
総失点よりも深刻な得点数減少。
昨季のリーガにおける最終順位は3位だが、優勝したバルセロナとの勝ち点差は実に19ポイント。仇敵にここまで引き離されたシーズンは過去に一度もない。負け数も12。バルサが3敗、2位のアトレティコでも6敗だから、負けすぎである。
総失点46も多いが、最大のネックはそこではない。看板の得点力が極端に落ち込んだことにある。総得点はわずか63。前季と比べて31点も減ってしまえば、苦戦するのも道理だろう。
大エースのクリスティアーノ・ロナウドを手放しながら、跡目を立てずに終わったフロントの失態にほかならない。ちなみにC・ロナウドの在籍最終年は26得点5アシスト。計31点に絡んでいた。
いかに失われた得点を補うのか。
ジダンの手腕をもって――では、ない。この夏、1億5000万ユーロ(約156億円)を投じてチェルシーから獲得したエデン・アザールの仕事になるだろう。