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2012年、イチローが日本開幕戦で、
一言も肉声を残さなかった深い理由。
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/08/27 11:40
現役最後となった試合から7年前。同じ東京ドーム、同じアスレチックス相手に、イチローはグラウンドで躍動していた。
自分の国だなぁって気持ちになるね。
わかりやすい言葉は発しない。
もちろん、いろんな想いはある。
今の自分にできることは、野球。
そんな切羽詰まった状況に自らを追い込み、終わってみれば人をひきつけて止まない結果が残っている。そんなイチローのプレーに、何かを感じない日本人はいない。イチローは何も言葉を発しなくても、日本人と会話を交わしていた。イチローはこうも言った。
「(帰ってくると)自分の国だなぁって気持ちになるね」
たくさんのメッセージを受け取った日本人は、どこまでも期待を裏切らないイチローを感謝とともに見送った。そしてイチローは、日本人の心を動かし、勇気をもたらした。一度として、その肉声を聞かせることなく─―。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
Number Books
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2000年、メジャーリーグ挑戦直前のインタビューから、2019年3月、現役引退直後にシアトルで行われたロングインタビューまで、「Sports Graphic Number」を中心に20年間、100時間を超える単独インタビューを完全収録!
彼が私たちに見せてくれた幾多のプレーと同様に、その言葉どんなときも美しく、力強い。
<本体1,800円+税/石田雄太・著>
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