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名手マーフィー騎手に導かれて。
ディアドラ、初の海外GI制覇達成。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/08/09 07:00
1998年仏GIモーリスドゲスト賞のシーキングザパール以来、2度目の日本調教牝馬の欧州GI制覇となった。
3年目で大台100勝を突破。
その後、彼は一気にスタージョッキーへの階段を駆け上がる。
3年目の'15年にはカルピノでドイツ2000ギニー(GII)、ドルメロでUAEのアブダビチャンピオンシップ(GIII)など91勝。'16年にはブロンドミーでトルコのトプカピトロフィー(GII)、オペラティアラでドバイのバランシーン(GII)など重賞、準重賞計11勝を含む計116勝。早くも年間100勝の大台突破を果たしてみせた。
更に翌'17年はアクレイムで自身初のGI勝ちとなるフォレ賞制覇。そしてその僅か2週間後にはブロンドミーと共にカナダへ渡り、かの地のビッグレースであるEPテイラーS(GI)を優勝。この2つのGIを含む重賞、準重賞を計17も含む年間127勝をあげる事が出来た。
そして昨年の'18年もその勢いは止まらなかった。ベンバトルでドバイターフ(GI)、ザティンマンでのスプリントカップ(GI)、ロイヤルマリンでジャンリュックラガルデール賞(GI)などイギリスだけで198勝。更にロアリングライオンではエクリプスS(GI)、インターナショナルS(GI)、愛チャンピオンS(GI)、クイーンエリザベスII世S(GI)を優勝して、同馬をカルティエ賞の年度代表馬へいざなってみせた。
今年も相変わらずの活躍で、重賞も勝ち、勝ち鞍も勿論、多い。8月初旬の時点ですでにイギリスや日本で計150を突破する勝利数を記録。イギリス国内ではリーディングを独走している。
しかし、意外にも今年制したGIはまだ1つだけ。このディアドラによるナッソーSがマーフィー騎手にとって今年2つ目となるGI制覇であった。
「彼女には向くと思いました」
「調教ではそれほど強いところはやらなかったけど、それでもさすが日本でGIを勝っているだけあって良い馬だと感じました」
レースの約1週間前の7月23日、ニューマーケットで調教に騎乗した際にはそう感じていたという。
そしてレース当日にはメンバー構成と馬場状態を確認して、次のように考えていた。
「メンバーを見渡したところ、流れは速くなると思いました。また、馬場は硬かったので、日本馬である彼女には向くと思いました」