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「森下暢仁の球質は岸孝之のよう」
日米大学野球のドラフト候補の評価。
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2019/07/28 11:50
米スカウトの評価も上々だった明治大・森下暢仁。今年のドラフトの顔となる存在だ。
首位打者賞を獲得した慶應大・柳町達。
森下が柱の投手陣が5試合で自責点4と抑える一方で、打線は恵まれた体格から投げ込まれる150キロを超えのストレートやムービングボールに苦戦した。
だが、その中で大きな存在感を放ったのが柳町達(慶應義塾大)だ。
12打数6安打の打率.500で首位打者賞を獲得。開幕戦で2020年MLBドラフト1巡目候補右腕マックス・マイヤーから2安打を放ち、幸先良く大会に入ると、第3戦でも同じく1巡目候補である左腕のレイド・デトマースからチーム唯一の安打を放った。
大会後の記者会見では「次の打者に繋ぐという意識が首位打者に繋がったのかなと思います」と振り返り、「速い投手から結果を残せたのは自信にしていきたいです」と手応えを語った。
捕手・郡司裕也は2打席連続ホームラン。
前述のスカウトも「バットの芯の位置を球種に関わらず、きちんと合わせるところが素晴らしい。秋山翔吾(西武)のような雰囲気や打球の質も感じました」と評価。大学入学時から指導にあたる慶應大・大久保秀昭監督も「彼は選考のボーダーだったと思うけど、よく練習していたのでリーグ戦の好調をキープしましたね」と目を細めた。
また「代表前に“速くて動く球には多少短く持つ方がいい”と伝えたら指一本くらいグリップを余らせていました。ボールに差し込まれて不安になることなく、打席で余裕が持てていました」と、その臨機応変な対応力を称えた。
また慶應大の同僚で同期の捕手・郡司裕也も3戦目までは代打起用だったが、指名打者として先発に抜擢された第4戦で2打席連続本塁打を放ち、一躍ヒーローに。仙台育英高時代に甲子園準優勝を果たした経験もあり、変わらぬ勝負強さを強敵相手にも見せた。