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オランダ2部ベスト11から1部移籍!
ウェルメスケルケン・際が語る野心。
text by
菊池康平Kohei Kikuchi
photograph byKohei Kikuchi
posted2019/07/20 17:00
帰国時に取材に応じてくれたファン・ウェルメスケルケン・際。サイドバックとして進境著しい。
リオ前のトゥーロンでの悔しさ。
センターバックからの組み立てが機能しないことが多かった中で、際が攻撃の起点となったのだ。右サイドバックを主戦場とするとともに、左サイドでの起用も増えていた。万能性を身につけていたのだ。
「トゥーロン国際大会の後、リオ五輪のメンバーに選出されなかったのは、全体的に選手として足りない部分があったから。また、日本とオランダのスタイルは当然違うし、当時のU-23代表チームはすでに五輪本番に向けてできあがりつつある段階だったので、そこに短期間で慣れる難しさも当然ありました」
この経験から学んだこともあった。
「サイドバックも、より攻撃的にプレーできないと自分自身もチームとしてもキツくなってしまいます。個で打開できる力や、チームを落ち着かせる力が必要と思います。U-23での活動を終えてからは、より攻撃的なプレーを磨いています」
際はオランダリーグで揉まれたことで、当時に比べて段違いに成長している。だからこそ目標も大きくなっている。
「この3年間でかなり成長できました。世界の多様なタイプの選手と対峙してきたので、今の自分のプレースタイルであればエクストラの部分を(代表)チームに与えられる選手になったはずです。 リオでは(メンバー入りを)掴めませんでしたが、東京五輪は日本開催ですし、参加したい気持ちはもちろん芽生えています」
原口らとの練習で得たこと。
日本とオランダの2つのルーツを持つ際だが、日本への想いは強い。言葉の節々からそう感じさせる。
「外に出て客観的にみられることで日本の良さを再認識できました。2歳から16年間日本に住んで、今オランダに戻って6年経ちました。今の自分の土台は、16年間育ってきた日本です。人としての核は完全に日本人です」
ちなみに際は、今回の一時帰国で原口元気、関根貴大、浅野拓磨と一緒に練習する機会に恵まれた。
「原口君とのバトルでは、オランダでは“大丈夫だろう”というディフェンス側の間合いが異なっていました」
オランダでは味わえないタイプのプレイヤーとのマッチアップから発見や収穫があったのだ。
「僕の場合は着実に一歩一歩、自身の目標を達成しています。今回のズウォレとの契約もその1つです。選手によってチャンスや流れが来る時期は違います。自分はチャンスが来た時にしっかり掴めるように、これまで以上に日々挑戦し続けます。自信はあるので楽しみです。確実に成長したし、どれだけ戦えるか自分自身楽しみなんです」
修正点を精査して着実に積み上げる――。それは際の強みだし、“ベストイレブン選出”という結果にもつながっている。