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G1クライマックス波乱の序盤決戦。
棚橋弘至も内藤哲也も暗雲の2連敗。
posted2019/07/16 18:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
29回目を迎えた新日本プロレスの真夏の決戦「G1クライマックス」は、7月6日のダラス、13日、14日の大田区2連戦、15日の札幌と4大会を消化、AとBのブロックに分かれた20人の出場選手はそれぞれ2試合ずつを戦い終えた。
Aブロック。昨年の優勝者で2連覇を狙う棚橋弘至はオカダ・カズチカ、KENTAに2連敗。棚橋は自分の現在の位置を「オカダとかなり離れている」と実感している。
棚橋は復帰から約40日が過ぎたが、見た目には体調が悪いようには見えない。大田区総合体育館のリングはいつもより暑かったが、棚橋は汗のかきかたは少なく、調子は良さそうだった。
棚橋はG1初参戦のKENTAを意識していた。
KENTAを「迷子」と表現して、敵対心を煽っていたが、KENTAに膝蹴り「go 2 sleep」を浴びて敗れた後には「迷子はオレだった」と自分にあきれたように漏らした。
棚橋はこの10月にレスラー生活20周年を迎える。その花添えにG1クライマックスでの優勝、しかも2連覇という特別な肩書が欲しいはずだ。ましてや、その先にIWGPヘビー級王座奪還という願いがあるなら、この夏のG1での優勝はその手っ取り早いアクセス方法なのだ。
棚橋とKENTA、2人の複雑な関係。
オカダにも、KENTAにも棚橋はハイフライフローを繰り出した。ハイフライフローは勢いよく飛ぶことができた。「飛びたい」と言っていた棚橋は飛べることの幸せを神に感謝するように、より高く飛んだ。
だが、棚橋は2試合続けて同じ失敗をしてしまった。棚橋が真上から覆いかぶさる直前、オカダの折り曲げたヒザが、KENTAの折り曲げたヒザが、ケンザンのように胸板からボディにめり込んでいたのだ。
棚橋が高く飛べた分、そのダメージは棚橋自身に跳ね返ってくることになった。
試合後、大田区ではKENTAとの握手は拒否した棚橋だが、札幌では8人タッグで組むことになった。ここでも、交代のタッチをめぐって2人は「オレだ、オレだ」と意地を張り合った。
ザック・セイバーJr.の関節攻めにあって場外で倒れていた棚橋に近づいたKENTAは、どうしたものかと躊躇していたが、棚橋に肩を貸して控室に一緒に戻っていった。