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レアル久保建英のデビュー戦は?
開幕前に示したい“近い未来”。
posted2019/07/18 17:00
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
AFLO
ここのところ、“レアル・マドリーの久保建英”にまつわるニュースアラームが鳴り止まない。
トップチームの北米遠征メンバー29名のリストに名を連ねた/なんとあのジネディーヌ・ジダン監督の意向らしい/モントリオールでのサマーキャンプ初日にカリム・ベンゼマのゴールをアシストした/憧れのエデン・アザールと英語で談笑した/セルヒオ・ラモスのインスタグラムに映ってる!/彼のスペイン語は完璧だ/久保の流出はバルセロナにとっては大きなミスだ/公式チャンネル『レアル・マドリードTV』に連日登場している/などなど――。
日本を発信源とするフィーバーはスペインでも過熱しつつあり、7月14日にはマドリードに拠点を置くスポーツ紙『アス』が「クボ・マニア」との見出しで1面を構成した。そこで報じられたのは、「コーチ陣を驚かせている。考えられていたよりもトップチームに近い存在だ」という期待感を一層膨らませる言葉だった。
無理もない。15日にはクラブ公式ツイッターがトレーニングで決めた2つのゴール動画をアップしたのだが、いずれも久保のポテンシャルを示すのに十分な内容だった。GKケイロル・ナバスとの駆け引きを制する左足裏でのフェイントも、シザースフェイントからスピードを上げて縦に切り込むドリブルも、ゴール右隅に流し込む左足アウトサイドキックも、いかにも久保らしい。
期待感を抱かせる久保建英という存在。
もちろん、本番で“らしさ”を発揮することが最大のハードルであるから、現時点での評価が直結するわけではない。確かにシーズンイン直後のトレーニングは雰囲気もユルく、ほとんどの選手にとって今はまだ身体慣らしの時期に過ぎない。
とはいえ、なにしろ舞台はあのレアル・マドリーである。
まずはラウール・ゴンサレスが指揮を執るカスティージャ(スペイン3部リーグに所属するBチーム)で経験を積んで……。おそらくその程度にしか見積もっていなかった我々の大部分の想像をはるかに超えて、久保は18歳にして、あのレアル・マドリーで、「もしかしたら」と思わせる存在感をはっきりと示しているのである。
メディアやファンを含めた“外野”にとって、起きている事態の本質を見極めることがとても難しいニュースだ。