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“期待の金メダル候補”だけじゃない。
スケーター堀米雄斗の秘める可能性。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byYuki Suenaga
posted2019/07/15 17:00
日本人スケーターのトップランナーとして活躍する堀米雄斗。インタビューに答える表情には幼さと落ち着きが入り混じる。
「コンテストよりもビデオパート」
ただし、真のトップを目指すなら、コンテストで結果を残すだけでは十分ではない。街中の手すりや階段、さまざまなアイテムを駆使して自らの滑りを映像作品として残すこと、カット割りや音楽まで練りこんだ「ビデオパート」で周囲に認められることの方がむしろ重要だからである。
「自分がスケボーに乗っているところを見てくれたら、それがすごくうれしい。自分にとってはコンテストも映像もどっちも大事」という堀米も、一般論としては「プロは映像が大事。それも誰もが認めるような映像ですね」とスケーターの価値基準を明かした。
早川氏も言う。
「コンテストよりもビデオパート。ビデオパートは絶対です。コンテストだけいくら勝っていても、トップブランドから板を出しているやつなんていない。逆にコンテストなんか一切出なくてもめちゃくちゃ人気のあるカッコいいやつっていっぱいいるんで」
'90年代後半から'00年代前半にかけて、岡田晋や米坂淳之介といったビデオパートでインパクトを残した日本人スケーターたちがいた。先人たちの足跡を乗り越えて、堀米の活躍はさらに先をいっているという。
滑りたい場所は街を歩いて見つける。
今回のシグニチャーモデルのリリースに合わせてNIKE SBから新たなビデオパートも公開され、日本や米国で撮影された堀米の滑りが収められている。
「(滑りたい場所は)普通に街を歩いていて見つけたり、その感覚はスケーターにしか分からないものかもしれない。米国でもグレーゾーンなところではあるんですけど、有名になるとみんなが知っているからストリートでスケボーしてても一般の人もすごく応援してくれたりする。これからは行ったことのない国でたくさん撮影したいし、フランスとかは行ったことがないのでパリでも撮ってみたい」