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“期待の金メダル候補”だけじゃない。
スケーター堀米雄斗の秘める可能性。
posted2019/07/15 17:00
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Yuki Suenaga
杓子定規に当てはめて考えてみる。
スケートボード、堀米雄斗。
ありきたりなスポーツの文脈で捉えるならば「来年の東京五輪で金メダルが期待される選手」とすると決まりがいい。
だが、ちょっと違うような、だいぶ違うような、全然違うような気もしてくる。
今年5月、堀米は世界的なトップスケーターのシェーン・オニールが立ち上げた新ブランド「APRIL」のチームに加わり、堀米の名を冠したシグニチャーモデルがリリースされた。
ここに別のものさしを当ててみる。
「同じスケーターとしてはうらやましいし、先輩としてはすごくうれしい。今の雄斗のブランドは一番注目されているトップブランドで、そこのトップライダーとしてシグニチャーを出せるのは素晴らしいこと。雄斗の板が欲しいと思う人が世界中にたくさんいなければ出してはもらえない」
その意義を語ったのは自らもスケーターで東京五輪に向けた日本代表のコーチを務める早川大輔氏である。グローバルなブランドから名前のついた板がリリースされてこそ世界レベルのトッププロ。これがスケーターの1つの尺度である。
世界的にブレークを果たした20歳。
6月末、埼玉県越谷市の巨大ショッピングモールで行われたムラサキスポーツのイベントに参加した堀米は、池田大亮や白井空良らとデモを披露した。その合間に行ったインタビューでは、堀米自身も“プロデビュー”を果たした特別な感慨を明かした。
「アメリカでプロになるのがずっと夢だった。本当にプロスケーターになることができたのでうれしい」
堀米は高校卒業後にカリフォルニアに活動の拠点を移した。スケートボードを生み、育んだ西海岸で揉まれることで滑りのレベルは格段にアップしていった。2017年に世界最高峰のツアー「スケートボード・ストリートリーグ」で日本人として初めて表彰台に上がると、昨年は同ツアーで3連勝して世界的にブレークを果たした。