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平野佳寿がアシストした初勝利。
チームと自分を救った苦労人左腕。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2019/07/15 11:30
ヤングの初勝利を好リリーフでアシストした平野佳寿。見事な仕事ぶりだった。
日本時代、コーチに言われたこと。
ダイヤモンドバックス首脳陣が登板前に「新人の初勝利だから頑張れ」と伝えたという事実はなかった。
だから、彼が持つ「新人の初勝利」に対する意識がどこから来たのかは、容易に推理できた。
「オリックスのコーチ(別府修作ブルペン・コーチ)に『初勝利ってのは特別なんやし、ちゃんと抑えたれよ』といつも言われていた。ハッパをかけられていたと言うか、『あえて言うぞ、プレッシャーかけるぞ』って、しつこいぐらい言われていたので、最後の方はこっちから『分かってますから』って言ってから、グラウンドに出て行ってたぐらいですし」
日本プロ野球で12年を過ごした彼にとって、「初勝利」のチャンスと巡り合う日常的なことなのかもしれない。
「僕と同じ学年に“カモシダ”っていうピッチャーがいたんです。高卒で巨人に入って、1年目から一軍で投げていたぐらい力のあるピッチャーだったんですけど、オリックスに来てから、初めて勝ったってことがあった」
鴨志田貴司という投手の場合。
彼の言葉を頼りに調べてみた。
平野が京都の鳥羽高から京都産業大へ進学することを決めた2001年のドラフトで指名された、鴨志田貴司というピッチャーがいる。
茨城県の水戸短大附属高から3巡目指名で巨人に入団。2013年を最後に引退し、現在は日本の独立リーグ(ルートインBCリーグ)の茨城アストロプラネッツの投手コーチを務めているそうだ。
鴨志田は1年目の10月にプロ初セーブを挙げるなど期待されたが、巨人での5年間で34試合の登板(すべてリリーフ)に終わっている。
オリックスに移籍した2008年にはプロ初先発したものの、勝ち星には恵まれず。そんな彼が「プロ初勝利」を記録したのは、現役最終年にあたる2013年6月16日、ヤクルト戦での救援登板でのことだった。