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平野佳寿がアシストした初勝利。
チームと自分を救った苦労人左腕。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2019/07/15 11:30
ヤングの初勝利を好リリーフでアシストした平野佳寿。見事な仕事ぶりだった。
「最後の選択」が窮地を救った。
先発ローテから1人が抜ければ、誰かがその穴を埋めなければならない。マイナーから抜擢された投手たちの多くは負傷者リスト(IL)に入っているか、メジャーに適応できずにマイナーに降格したかのどちらかだった。
チームにとって「最後の選択」だったヤングは、前述の通り平野の好救援もあってメジャー初登板初勝利を記録した。勝率5割を巡る戦いを強いられ、ナ・リーグ西地区制覇からワイルドカード争いに移行しつつあるチームの窮地を救った。
「ここ(メジャーリーグ)にたどり着くまで簡単じゃなかった。正直に言うと、あまりにもいろいろあり過ぎて、自分の未来を疑ったこともあるぐらいだから、これからどんな機会が与えられようが、ベストを尽くすだけだよ」(ヤング)
その数日後、エンゼルスのタイラー・スカッグスがホテルで急死したという知らせを聞いた。
それからさらに数日後、今度はインディアンスのカルロス・カラスコ投手が白血病であることを明かしたというニュースを聞いた。
人の生死に関わる重大なニュースを知った後では、ヤングの初勝利は単に「運が良かった」という以上の、とても幸運な出来事のように思える。
運命なんて、誰にも分からない――。
ベースボールという名の日常を過ごす中で、そんなことを聞いたのは初めてではないが、できるならそれは、幸運な出来事であって欲しい。